中国~キルギス~ウズベキスタン~アフガニスタンを結ぶ物流ルート運用開始へ

(ウズベキスタン、キルギス、中国、アフガニスタン)

タシケント発

2022年09月27日

ウズベキスタン、キルギス、中国の各政府およびアフガニスタンのタリバン暫定政権は、中国からアフガニスタンに至るトラックと鉄道を併用した物流ルートの運用を開始することで合意した。99日にタシケントで合意書の調印式が行われた。

中国新疆ウイグル自治区カシュガルからキルギス第2の都市オシまでトラックで輸送し、オシから鉄道に積み替えてウズベキスタンを経由してアフガニスタンのハイラトンまで輸送する(添付資料地図参照)。中国からアフガニスタンまでの輸送期間が従来の2カ月から2週間程度にまで短縮され、年間の計画輸送量はコンテナ6万本と発表されている。ウズベキスタン政府は、同物流ルート促進のため鉄道利用料金の70%を割り引く予定だ。

8月末にはキルギス鉄道が、中国・カシュガル~キルギス~ウズベキスタン・アンディジャンを結ぶ鉄道建設に関する事業化調査を開始した(2022年9月6日記事参照)。同ルートはカシュガルから北に向かいキルギス・トルガルト国境を超える北回りルートで、今回合意されたのはカシュガルから西へ向かい、キルギス・エルケシタム国境を越えてオシに至る南回りルートだ。事業化判断と鉄道建設に時間と多大な費用がかかる北回りに比べ、南回りルートのインフラ自体は確立されているため、物流ルートとして活用するまでの時間がかからないことが特徴だ。一方、キルギス域内ではタルディク峠(標高3,615メートル)などの難所があり、輸送量の増加には道路や関連設備の整備が必要となる。カザフスタン経由の鉄道輸送との価格競争力も課題となる。

ウズベキスタン運輸省は919日、ジェトロのヒアリングに応じ、「この路線で現在試験輸送が行われている。4カ国の鉄道行政責任者が一堂に会することは今までなかった。ウズベキスタン政府もこのルートを有望と考えている。東アジアからアフガニスタンへの輸送量に増加に大きな期待を寄せている」と回答している。

写真 タルディク峠(ブラック ジャック 確率撮影)

タルディク峠(ジェトロ撮影)

写真 キルギス・サリタシ村近郊を走るトレーラー(ブラック ジャック 確率撮影)

キルギス・サリタシ村近郊を走るトレーラー(ジェトロ撮影)

写真 タルディク峠付近など、補修が必要な個所も散見される(ブラック ジャック 確率撮影)

タルディク峠付近など、補修が必要な個所も散見される(ジェトロ撮影)

(ウラジミル・スタノフォフ)

(ウズベキスタン、キルギス、中国、アフガニスタン)

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