ドイツ自動車大手、サステナビリティーへの取り組みを強化
(ドイツ)
ミュンヘン発
2022年09月20日
ドイツ自動車大手は、サステナブルな素材や部品の製造、使用という、新しい取り組みを進めている。
BMWは9月7日、2023年からBMWとミニの内装に植物由来の「ビーガンインテリア」を採用すると発表した。具体的には、自動車ステアリングホイールの表面材料を、皮革から非動物性材料に切り替える。これにより、同様のモデルに比べ、動物由来の部品の割合を1%未満に減らせるという。また、バリューチェーン上の二酸化炭素(CO2)排出を85%削減できるとした。削減量の約8割は牛の飼育過程でのメタンガス排出、約2割は皮革の加工工程での排出を削減することによるもの。BMWによると、今後、特に米国、中国、欧州で、皮革を使わない非動物性内装へのニーズが高まっていくという。
また、BMWは9月13日、2025年から販売予定の新モデル「ノイエ・クラッセ」の内外装に、漁具をリサイクルした素材を約3割使ったプラスチックを活用すると発表した。漁具(漁網、ロープ)などからリサイクルした素材を活用することで、石油由来のプラスチックの使用を減らし、海洋汚染も防げる。BMWによると、漁具からリサイクルした素材で製造した部品は、従来のプラスチックに比べて、CO2を約25%削減できる。BMWは、海洋プラスチックごみのリサイクルで、デンマークのプラスチックス(PLASTIX)と協業している。BMWは2050年までの気候中立を目指すほか(2022年7月28日付地域・分析レポート参照)、新車に使われる熱可塑性樹脂の再利用素材の割合を、現在の約2割から、2030年までに約4割に高める目標を掲げている。
メルセデス・ベンツグループ傘下のメルセデス・ベンツは8月24日、熱分解のスタートアップ企業であるドイツのピュルム・イノベーションズ(Pyrum Innovations)、化学大手BASFと協力し、廃タイヤを原料としたリサイクル素材を活用して部品を生産すると発表した。具体的には、廃タイヤ由来の熱分解油と農業廃棄物から得たバイオメタンから、プラスチックを製造し、2022年中にも電気自動車「EQE」と「Sクラス」のドアハンドルに活用する。「Sクラス」の衝撃吸収装置にも使用される予定。メルセデス・ベンツによると、同素材は石油由来のプラスチックと全く同じ特性で、塗装の観点や衝突安全性能からも全く問題ないという。メルセデス・ベンツは2019年5月発表の計画「アンビション2039年」の中で、2039年までに気候中立を達成する目標を掲げている。また、乗用車のリサイクル素材の割合を、2030年までに平均4割まで高める目標を掲げている。
(クラウディア・フェンデル、高塚一)
(ドイツ)
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