スウェーデン政府、電力事業者へ信用保証を提供すると発表
(スウェーデン)
ロンドン発
2022年09月08日
スウェーデン政府は9月4日、エネルギー企業の流動性確保のため、電力事業者へ信用保証を提供する計画を発表した。信用保証の総額は、最大2,500億スウェーデン・クローナ(約3兆2,500億円、SEK、1SEK=約13円)に上るとした。
これに先立つ8月31日には、ロシアのウクライナ侵攻の影響による電力料金の高騰への対応策を発表した。政府は、国営電力事業者のスベンスカ・クラフトネート(注1)に対して、ボトルネック収入(注2)を家庭や企業向けの緊急対策の財源とする許可を、エネルギー市場監督局に申請するよう委託していた。
電気料金の高騰に伴い、ボトルネック収入は増えている。スベンスカ・クラフトネートの予測によると、2022年および2023年の総収入は900億SEKに達する。家庭への支援総額は、2021年冬の電力料金補償の最大5倍にもなる可能性がある。
2022年秋にはリンハルス原子炉の1基が損傷により運転停止となるため、エネルギー状況がさらに緊迫化することが予想されている。
政府は8月1日、スベンスカ・クラフトネートが8つの主要なグリッドステーションに総額32億SEKの投資を実施することを承認した。この投資は、再生可能な電力生産に対応するためで、電力送電所を最新のものとする予定にしている。今回の決定は、消費拡大や送電容量のニーズに対応するため、全国送電網を拡大する政府の投資の一環となっている。
一方、電力危機を受けて太陽電池の需要が急激に増加し、業界は対応に苦慮していると報じられている(「ダーゲンス・インドゥストリ」紙9月2日)。また、スウェーデンのトマト生産大手のノルディックグリーンズは、通常、冬の間は温室で毎週30〜40トンのトマトを栽培するが、電気料金の高騰を理由にこの冬はトマトを栽培しないことを発表したと報じられた(「アフトンブラーデット」紙8月31日)。
(注1)電力取引が自由競争に基づき円滑に行われるよう、北欧諸国内だけでなく、欧州諸国との取引も統括している。
(注2)送電網の送電容量の不足により、国内の電力に価格差が生じた場合に電力事業者に発生する収入。
(島村英莉、篠崎美佐)
(スウェーデン)
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