電気・ガス料金が最大50.8%値上がり
(トルコ)
イスタンブール発
2022年09月08日
トルコのエネルギー市場規制庁(EPDK)、および国営石油・ガス輸送会社ボタシュ(BOTAS)は8月31日、9月1日付で電気料金と天然ガス料金を引き上げると発表した。電気料金は、住宅用および農業用が20%、工業用が50%、公共・民間サービス業用が30%の引き上げとなる。天然ガス料金は、住宅用が20.4%、中小規模の工業用が47.6%、大規模な工業用が50.8%、発電用が49.5%の引き上げとなる。
いずれも、ロシアのウクライナ侵攻による世界的なエネルギー価格高騰を理由に、やむを得ない措置としている。ブルームバーグHTの9月1日付ソーシャルメディア投稿によると、天然ガス価格は、2021年4月からの約1年半で発電用が約14.0倍、工業用が約10.9倍、住宅用が約3.1倍となっている。
トルコの産業界からは、通貨トルコ・リラ安に加え、生産におけるエネルギーコストの増大が国内外の価格競争力をそぐとの声が上がっている。各セクターは、生産コストにおけるエネルギーコストの比率が、自動車で5%から15%、繊維衣料品で40%から50%に上昇したとみている。
ロイターの9月1日付報道によると、今回の電気・ガス公共料金の引き上げは、生産者によってコストが消費者に転嫁され、間接的にインフレ率を0.8ポイント押し上げることになる。トルコではインフレ高騰が続いており、トルコ統計機構(TUIK)の発表によると、8月のCPI(消費者物価指数)は前年同月比80.2%上昇となり、過去24年間で最高の値を記録している。さらに、独立系のインフレ調査グループENAGは、同月のインフレ率を同181.37%と計算しており、消費者の生活コストは上昇し続けている。なお、ムーディーズは、エネルギー価格引き上げ発表前ではあるが、8月31日にトルコの2022年末のCPI上昇率予想を52.1%から68.6%に引き上げたと報じていた。
(中島敏博)
(トルコ)
ビジネス短信 3b0268695360db08