保健省、マスク着用に関する規制を緩和
(ベトナム)
ホーチミン発
2022年09月16日
ベトナム保健省は9月6日付の決定2447/QD-BYTにより、マスク着用に関する規制を緩和する新たなガイダンスを発出した。これまで公共の場では全般的にマスク着用が必須としてきたが、今後は医療施設や公共交通機関を除いた各施設の利用者については、マスク着用義務の対象外にした。
同決定によると、急性呼吸器感染の症状がある人や、新型コロナウイルス感染者または感染の疑いのある人、新型コロナウイルスの流行レベルが3(オレンジ)または4(レッド)の地域を訪問する者(5歳未満を除く)については、引き続きマスク着用が必要となる(注1)。また、医療施設と公共交通機関では、基本的にマスクの着用が求められる。
商業施設やスーパーマーケット、飲食店、映画館、バー、ディスコ、式場、公共施設などその他の施設については、利用者はマスク着用を義務づけていない。一方、各施設の管理者や従業員は利用者と接触する場合、マスク着用が必要となる。
今回、マスク着用義務の対象範囲は絞られたが、保健省はマスク着用による新型コロナウイルスの感染予防効果を認めており、公共の場に赴く際のマスク着用を推奨している。
感染対策を「5K」から「2K+」に
保健省は、これまで「マスク着用」「消毒」「距離の確保」「密集しない」「医療申告」の5つのベトナム語の頭文字を取って基本的な感染対策として「5K」を掲げてきたが、新ガイダンス発表後の9月8日、2K(マスク着用、消毒)と、追加の要素(「ワクチン」「薬」「治療」「技術」「人々の意識」)を組み合わせた「2K+(プラス)」という新たなスローガンを示した(注2)。
同省は、新型コロナウイルス感染の重症者と死亡者が世界的に減少し、ベトナムではワクチン接種も進んで感染拡大を制御できているため、現状では「距離の確保」や「医療申告」は基本的な感染対策から外してよいとした。一方、新型コロナウイルスの新たな変異株の出現や季節性インフルエンザの流行に備えるために、「2K+」の実施は不可欠としている(「健康と生活」9月12日)。
(注1)ベトナムでは、行政区ごとに新型コロナウイルス感染リスク評価を行い、4つのレベル(リスクが低い順にグリーン、イエロー、オレンジ、レッド)に分けている(2022年2月14日記事参照)。保健省の公表資料によると、9月13日12時現在、レベル3またはレベル4に該当する行政区は全国の1.3%にとどまる。
(注2)「ワクチン」はワクチンの接種、「薬」は保健当局の指示に基づく薬の使用、「治療」は診断とガイドラインに沿った治療、「技術」はアプリケーション技術を活用した感染状況の管理、「人々の意識」は感染予防や規制順守への意識を指す。
(阿部浩明)
(ベトナム)
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