変動相場制を導入し、公定レートと実勢レートの差が縮小へ
(バングラデシュ)
ダッカ発
2022年09月27日
バングラデシュ銀行は9月13日以降、変動相場制の導入を開始したが、開始日以降、対ドルのタカの相場が下落している。これまで中央銀行が設定する公定レートが用いられてきたものの、市中の実勢レートは実際よりもタカ安傾向にあった。中央銀行のレートは、8月11日から9月11日までは1ドル=95タカに固定されていたものの、9月12日にドルの購入レートが106.15タカと大幅にタカ安傾向となり、19日には109タカとさらに下落した。2022年年初から比較すると、ドルの購入レートは、1ドル=85.8タカから109タカまで27%下落したことになる。
変動相場制導入前には、中央銀行がドル売り介入を行うことで、タカ安を抑制していた(2021年12月24日記事参照)。輸出時や銀行間取引は公定レートを利用し、輸入時には実勢レートが適用されていたため、輸出入時に適用されるレートには乖離があり、また銀行間でのドルの融通(売買取引)が進まず、ドル不足とみられる銀行による信用状(L/C)決済遅延などが発生していた。今般、変動相場制が導入されたことにより、公定レートが実勢レートに近づき、事業者の決済に関する環境改善や、銀行間でのドルの流動性が高まることが期待される。また、ブラック ジャック サイト出稼ぎ労働者による郷里送金についても、ブラック ジャック サイトからバングラデシュへの送金時に変動レートが採用されるため、銀行経由での受け入れが増えることで、外貨準備高の減少が緩和される可能性もある。
なお、2022年8月末時点での外貨準備高は389億4,550万ドルで、2022年7月の輸入額(暫定値)58億6,200万ドルを基準とすると、6.6カ月相当分となる。
(安藤裕二、山田和則)
(バングラデシュ)
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