英中銀、長期国債の一時的購入を発表、売却は延期
(英国)
ロンドン発
2022年09月29日
英国のイングランド銀行(BOE、中央銀行)は9月28日、英国の長期国債を一時的に購入することを発表した。クワシ・クワルテング財務相が9月23日に減税を含む経済対策「成長計画」を発表(2022年9月26日記事参照)した後、通貨ポンドは下落、債券利回りも上昇した。こうした状況でBOEのアンドリュー・ベイリー総裁は26日に声明を発表、金融市場を注意深くモニタリングするとし、金融政策委員会(MPC)はターゲットのインフレ率2%の中期的かつ持続的な達成に必要なだけ金利を変更するとしていた。しかし、翌27日も長期国債を中心に利回りは上昇を続け、BOEは、この状況が継続すれば英国の金融の安定性にとって大きなリスクになるとして、今回の購入策に踏み切った。
購入は9月28日から10月14日までと限定しており、市況が通常の状態を取り戻すまで無制限に行うとした。
また、28日の発表では、MPCで先日決定した800億ポンド(約12兆4,800億円、1ポンド=約156円)の保有国債の削減については、変更しないものの、現在の市場環境に鑑み、来週から開始予定だった売却の開始を10月31日まで延期するとした。
9月28日朝時点では30年英国債の利回りは一時、20年ぶりの高水準となる5%超を記録した(「フィナンシャル・タイムズ」紙9月28日)が、発表を受けて約3.9%にまで低下した。28日のFTSE100(ロンドン証券取引所の時価総額上位100銘柄の企業)の株価指数は反発(上昇)した。
(島村英莉)
(英国)
ビジネス短信 1273a7476258e8f8