米オクシデンタルと1ポイントファイブ、世界最大規模のCO2回収プラント建設へ
(米国)
ヒューストン発
2022年08月26日
米国石油大手のオクシデンタル(本社:テキサス州ヒューストン)と同社のグループ会社で、低炭素関連事業を手掛ける1ポイントファイブ(本社:テキサス州ヒューストン)は8月25日、米パーミアン盆地で世界最大規模の二酸化炭素(CO2)の直接大気分離回収(DAC)プラントの建設を開始すると発表した。同盆地はテキサス州西部とニューメキシコ州南東部の一部にまたがる広大な地域で、国内有数のシェールオイルとシェールガスの生産地として知られている。
1ポイントファイブは、2035年までに世界各地で70基のDACプラントを建設するとした事業戦略を発表しており、今回のプラント建設はその一環にあたる(2022年6月8日記事参照)。両社によると、用地整備や道路工事を含むDACプラントの建設は2022年第3四半期(7~9月)に開始し、2024年後半に稼働の予定だ。稼働直後は年間最大50万トンのCO2を回収する見込みで、今後、年間最大100万トンまで機能拡張が可能としている。
両社は同プラントについて、脱炭素化が困難な産業による温室効果ガス(GHG)排出量ネットゼロ達成を支援するため、費用対効果の高いソリューションの提供が期待されると述べている。回収したCO2は地中深い貯留層に安全に貯留(CCS)されるほか、低炭素またはネットゼロの輸送燃料や、化学製品、建材などの製品に活用されるとしている。
オクシデンタルのビッキー・ホラブ社長兼最高経営責任者(CEO)は「当社初のDACプラントの建設は、当社のネットゼロ目標を達成し、世界がパリ協定の気候目標を達成するのを支援する重要なマイルストーンだ」と述べている。また、発表で両社は、8月16日に成立したインフレ削減法について触れ(2022年8月17日記事参照)、同法の脱炭素分野へのインセンティブ強化により、今後米国でDACの導入が加速化されることになると指摘している。なお、オクシデンタルのネットゼロに向けた最近の取り組みの1つに、同社の子会社オキシ・ローカーボン・ベンチャー(OLCV)と、米国のエンタープライズ・プロダクツ・オペレーティングによるメキシコ湾岸でのCO2の輸送・貯留事業の協業がある。4月25日に発表されたこの協業にはDAC施設の建設も含まれている(2022年4月27日記事参照)。
(沖本憲司)
(米国)
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