米カリフォルニア州のイチゴ農園で収穫ロボット活躍、人手不足解消の一助に
(米国)
ロサンゼルス発
2022年08月02日
米国のアグリテック関連スタートアップ企業のトルトゥーガ・アグテック(本社:コロラド州デンバー)の製造するロボットがカリフォルニア州サンタ・マリアのイチゴ農園で収穫作業を行っており、注目が集まっている。このロボットは、移動用車輪と収穫用アームを装備しており、高設栽培されたイチゴの実の熟度を判断し、熟した実から選んで収穫するという。同社はカナダの大手果物会社オッピーや投資会社ファーマーズ・ゲート(本社:ニューヨーク州ニューヨーク)、農業マネジメント会社レッド・ドッグ・マネジメント(本社:カリフォルニア州サンタ・マリア)との合弁事業のニュー・ウエーブ・ベリーによる実証実験の一環として、ロサンゼルスから北西約258キロに位置するサンタ・マリアでイチゴ収穫作業を行っている。ロボットによる収穫作業は2022年5月から始まり、収穫量は人間と変わらない水準に近づき、正確性は95%に達している(「ロサンゼルス・タイムズ」紙電子版7月26日)。
ロボット開発には農園での賃金上昇や人手不足が背景に
サンタ・マリアが所在するサンタ・バーバラ郡によると、同郡の2021年の農作物総生産額は19億ドルで、うちイチゴの生産は8億4,970万ドル(全体の約45%)を占める。カリフォルニア州で26人以上の従業員を雇用する場合の最低賃金は2021年1月以降14ドル、2022年1月以降は15ドルとなるなど、労働コストの上昇が続いており、サンタ・バーバラ郡の主要産業のイチゴの生産でも、賃金上昇や人手不足が大きな課題となっている。カリフォルニア大学デービス校がイチゴの栽培と収穫にかかるコストを調査した2021年の報告書によると、イチゴ栽培にかかわる労働者の賃金(時給)は、各種税金や労災など雇用に伴う必要経費を含めると、21.46ドルに達するという。その上で「近年は労働力の制約により、適時適切なタイミングで効率的に農場を運営するために十分な数の労働者を確保、維持することが困難になっている」と指摘している。人手不足や賃金上昇が課題となる中で、その解消の一助としてテクノロジーを活用したロボットの貢献が期待される。
(サチエ・ヴァメーレン)
(米国)
ビジネス短信 e46e972e88cb9fdb