カナダ・スタートアップのキャンバスAI、ヤマハ発動機CVCなどから1,423万ドル調達
(カナダ、日本)
トロント発
2022年08月15日
カナダで産業用の人工知能(AI)ソフトウエアを手掛けるスタートアップのキャンバス・アナリティクス(キャンバスAI)は8月9日、シリーズA(注1)で773万ドルの追加資金調達を行い、前回と併せて1,423万ドルの資金調達を完了したと発表した。調達元は、ヤマハ発動機CVC(注2)のヤマハモーターズ・ベンチャーズを中心とした投資家。前回のシリーズA(2021年11月15日記事参照)では650万ドルを調達していた。今回の追加資金調達により、キャンバスAIは産業用AIの力で産業界の労働力を強化し、業務全体にインパクトを与えるという同社ミッションをさらに推し進めることが可能になると述べている。加えて、南部オンタリオ連邦経済開発庁を通じてカナダ連邦政府から570万カナダ・ドル(約5億9,850万円、1カナダ・ドル=約105円)の融資を受け、オンタリオ州での雇用拡大に充てることも明らかにした。
同社は、現場の技術者がコーディングやデータサイエンスの専門知識がなくても使うことができ、業務全体への適用拡大が可能な産業用AIプラットフォームを提供している。二酸化炭素排出量と廃棄物の削減、歩留まりの向上、施設運用の最適化、資産の信頼性と整合性の向上、エネルギー消費の最適化などに利用されているという(2021年12月9日記事参照)。
同社のフメラ・マリク最高経営責任者(CEO)は「シリーズAの完了は、当社の市場参入戦略やソリューションが市場で受け入れられていることを裏付けるものだ。大手企業や製造業は、当社の特許取得済みキャンバスAIプラットフォームを使用して長年にわたる業務課題を解決してきており、生産性や収益性、持続可能性に対する目標達成への貢献につながっている」と述べた。
また、ヤマハモーターズ・ベンチャーズの最高執行責任者(COO)兼マネジングディレクターのアニッシュ・パテル氏は「キャンバスAIは、AIの力で工業界がより早く業績目標を達成可能となるように注力しており、工業界が探し求めていた市場でのギャップを埋めている。(AIの使用により)技術者をインダストリー4.0の変革者へと高めることで、工業界が競争優位性を拡大し、コストを削減し、持続可能な取り組みを推進可能にする同社の戦略に期待している」とコメントした。
このほか、最近のAI関連での日系企業とカナダのスタートアップの連携事例としては、日本のMS&ADインシュアランスグループとカナダのコグニティビティー・ニューロサイエンスによるAI認知機能測定サービス提供に関する実証実験(7月)や、日本のミオ・コーポレーションによるカナダのアルタム・ビュー・システムズ社のAI見守りセンサーの販売開始(1月)などが挙げられる。
(注1)一般に事業を開始した段階での資金調達。
(注2)コーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)、事業会社が運営する投資会社。
(飯田洋子)
(カナダ、日本)
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