新型コロナ感染者数が再び急増
(トルコ)
イスタンブール発
2022年08月12日
トルコの新型コロナウイルスの1日当たり感染者数は、5月31日の975人から、7月末には約5万1,000人に急増した。
同国では4月下旬に1日当たり感染者数が減少傾向に入ったが、6月中旬に再び感染拡大がみられるようになり、1週間当たりの感染者数は6月13~19日の1万954人から、7月25~8月1日には40万6,322人(注)に達した(1日当たり約5万1,000人、添付資料表参照)。ファフレッティン・コジャ保健相は、病床使用率に大きな増加が見られないことから、ロックダウンなどの厳しい対策を再び取ることは検討していないと発表すると同時に、50歳以上や持病のある市民に対してはワクチン接種を強く促した。
政府は4月下旬以降に1日当たり感染者数が減少傾向に入ったことで、4月27日に屋内外でのマスク着用などのルールを緩和していた(2022年5月2日記事参照)。また、1日当たり感染者数が864人となった5月29日にはマスク着用義務を完全に撤廃し、同月31日には入国時のPCR検査と抗原検査の陰性証明にかかるルールを撤廃した。これに伴って保健省は、新型コロナに関する統計を毎日ではなく週1回の更新としていた。
なお、トルコ医師会(TTB)は、トルコ統計機構(TUIK)がトルコで初めて新型コロナ感染者が確認された2020年3月11日以降、予定していた国民の死亡者数と死因の統計発表を2年連続で見送っていることや、保健省の発表と世界保健機関(WHO)の死亡者数推計値に乖離があることなどから、トルコの公式統計への信頼性に疑問を呈し、実際の感染状況に懸念を示している。
他方、トルコの経常収支の主要部門の観光セクターには、政府の規制緩和が好影響を与えたとみられる。文化観光省の統計によると、6月の観光客数は556万4,818人と、前年同期比2.2倍となり、新型コロナ前の数値(2019年6月、596万9,981人)に近づいている。
(注)他の期間は1週間(7日間)の数字なのに対し、7月25~8月1日は8日間となっているが、保健省の統計の記載のとおりとした。
(エライ・バシュ)
(トルコ)
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