ペロシ米下院議長が台湾訪問、上院共和党議員も超党派で支持表明

(米国、中国、台湾)

ニューヨーク発

2022年08月03日

米国連邦議会のナンシー・ペロシ下院議長(民主党、カリフォルニア州)が率いる議員団は82日深夜、台湾に到着した。現職の下院議長が台湾を訪問するのは1997年のニュート・ギングリッチ議長(共和党)以来、25年ぶりとなる。上院共和党議員も超党派で支持を表明しており、米中間の緊張関係が一層高まるのは必至だ。

ペロシ議長は731日からシンガポールを皮切りにアジア歴訪を進めている。当初発表していた公式日程では、訪問先はシンガポール、マレーシア、韓国、日本とし、台湾は含んでいなかった(2022年8月1日記事参照)。ペロシ議長は台湾訪問に際して「議員団の台湾訪問は、台湾の活気ある民主主義を支持するという米国の揺るぎない約束に名誉を与える」との声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを出した(82日)。また、今回の訪問は数ある議員団の訪台の1つであり、1979年台湾関係法、米中間の共同声明、6つの保証に基づく米国が長らく維持してきた政策と矛盾するものではないと説明し、「米国は一方的な現状変更に反対し続ける」と締めくくっている。昨今、さまざまな問題で民主党と激しく対立する共和党議員も支持を表明した。上院共和党トップのミッチ・マコーネル少数党院内総務(ケンタッキー州)と25人の上院共和党議員は「ペロシ下院議長の訪台を支持する」とし、「今回の訪問は米国の1つの中国政策と整合している」との声明を出した。

ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)のジョン・カービー報道官はCNNで、事態を注視しているとしつつ、ペロシ議長の訪台が危機や衝突もしくは中国が何らかの軍事行動を起こす口実になる理由は全くないと発言している。また、議長同様、米国の政策に変更はない点を強調した。一方、中国外交部はペロシ議長が台湾に到着した直後に「これは1つの中国政策と3つの中米共同声明に深刻に反する行為だ。中米関係の政治的基盤に重大な影響をもたらし、中国の主権と領土の一体性をひどく侵害するものだ」と強く反発する声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを出した。また、中国は主権と領土の一体性を堅守するために必要なあらゆる手段を講じるとしている。ペロシ議長の訪台中またはその後に、中国が報復措置を取るか注目される。

(磯部真一)

(米国、中国、台湾)

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