英政府、重要鉱物資源に関する戦略、精製施設への投資を発表

(英国)

ロンドン発

2022年08月03日

英国政府は722日、サプライチェーンを強化し、電気自動車(EV)や洋上風力などの成長産業を支えるため、英国初の「重要鉱物資源戦略外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した。安定供給に関しリスクを抱える重要鉱物につき、国内の能力を拡大、国際的なパートナーと協業し、国際市場を強化する。

英国政府によると、EVバッテリーに必要なバッテリー金属(リチウム、グラファイト、コバルト、ニッケル)の世界需要は、2040年までに613倍に増加すると予測されており、資源開発のペースを超えている。また、こうした鉱物の多くは中国などの一部の国から調達されている(添付資料図参照)。ロシアによるウクライナ侵攻も踏まえた、エネルギー安全保障と国内産業のレジリエンス強化、不安定で高価な化石燃料からの脱却を目指す中で、こうした鉱物の重要性はさらに高まっているとした。

戦略に盛り込まれた取り組みとしては以下が挙げられる。

国内能力の拡大については、国内での開発・採掘の促進や、精錬や中間素材製造における戦略的拠点としての英国を強調し、人材育成、研究開発などを行う。

国際パートナーとの協業では、生産国の多様化などのサプライチェーンの支援、国際的な課題の解決に向けた重要国との関係構築などが挙げられている。

また、金融街シティが金属、鉱物の世界的な取引ハブとなっていることを生かし、世界的な重要鉱物市場の環境、社会、ガバナンス、透明性に関する基準の改善を推進する予定としている。

重要鉱物資源のための投資を実施

政府は、同日、磁性金属の精製施設への数百万ポンドの支援を外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます発表した。同施設は、大規模な磁性素材精製のため、鉱山企業ペンサナがイーストヨークシャーのソルトエンドに建設するもの。同施設では、EVの主要部品である磁石に用いる重要鉱物の加工を行う。操業開始は2023年末を見込んでおり、2024年には世界の磁性金属の5%を生産する計画としている。同施設について、政府は英国のEV産業、洋上風力発電産業の変革に重要な役割を果たすとした。

(島村英莉)

(英国)

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