日米イノベーションアワードが3年ぶりのリアル開催、日系スタートアップ6社が受賞
(米国、日本)
サンフランシスコ発
2022年08月01日
日米の新興スタートアップを表彰する日米イノベーションアワードシンポジウムが7月14日、米国カリフォルニア州のスタンフォード大学で開催された。同アワードは、北カリフォルニア・ジャパン・ソサエティおよびスタンフォード大学米国アジア技術経営研究センターの共催により、2011年から毎年開催されている。受賞企業は審査員約50人による審査で選出され、過去にはテスラやLINE、メルカリなどが新興リーダー賞(注1)を受賞している。今回は3年ぶりのリアル開催となり、新たなリーダーを一目見ようと、会場には約300人が来場した(注2)。
会場では、受賞企業によるプレゼンテーションが実施されたほか、受賞企業やジェトロなどがブースを設置し、来場者とのネットワーキングも行われた。本アワードにおいて、新興リーダー賞を受賞したティアフォー(本社:愛知県名古屋市)は、世界初のオープンソース自動運転OS「Autoware」のクリエーターとして、自動運転車両の開発および運営に必要なソリューションを提供しており、同ソフトウエアの採用企業は現在、数百社に上る。同社の最高執行責任者(COO)である田中大輔氏は、今後の米国展開に関して「タクシーや高速道路を走るトラックなど、さまざまなシーンで自動運転の市場が本格的に立ち上がりつつある米国において、オープンソースという新しい手法で市場獲得を目指したい」と語った。
また、イノベーション・ショーケース企業(注3)として、日本企業5社(注4)が選出された。ワープスペース(本社:茨城県つくば市)は、常時30分以下の低遅延で宇宙から地上に大容量データの移動を可能にする、衛星間光通信によるデータ中継サービスの開発を行っており、2025年をめどに空間光通信端末を搭載した中継衛星3機の打ち上げを予定している。同社の最高戦略責任者(CSO)兼米国法人最高経営責任者(CEO)の森裕和氏は「会場にはベンチャーキャピタルも多数来場しており、効果的なネットワーキングができた。これをきっかけに、米国事業を拡大していきたい」と話した。さらに、テレイグジスタンス(本社:東京都中央区)は、ロボティクス分野のスタートアップ。自社開発のハードウェアと遠隔操作、AI(人工知能)システムを装備するロボット「TX SCARA」は、日本のファミリーマートで導入が開始している。ロボットが人に代わってバックヤードでの商品陳列を行うことで、時間的および経済的な余剰を生み出し、労働者不足への対応や労働環境の改善、店舗の採算性向上などを実現する。同社の最高製品責任者(CPO)である石川史氏は「米国展開に本格的に着手するため、準備を進めている最中だ」と意気込みを語った。
(注1)日米相互の市場にインパクトを与え活躍した企業として、日米で各1社が選出。
(注2)アワード当日に、ジェトロが主催者から聞き取った数字。
(注3)日本発で米国への進出・事業拡大を目指しており、変革をもたらすと注目される企業が選出。
(注4)そのほかCureApp、GITAI、京都フュージョニアリングが受賞。
(石黒誠也)
(米国、日本)
ビジネス短信 af6602bf80fde551