干害でトウモロコシ生産予測3割減、政府は灌漑に15億ユーロ投入
(ルーマニア)
ブカレスト発
2022年08月25日
深刻な干ばつが続いているルーマニアで、トウモロコシの生産量が前年比で大幅に減少する見込みだ。
米国農務省(USDA)は8月12日更新の統計で、ルーマニアの2022年のトウモロコシの生産量を1,000万トンと予測している。これは2015年以来の不作で、前年比32.5%の減少ということになる。7月29日付EU統計局(ユーロスタット)によると、過去5年間(2017~2021年)の平均は1,514万トンで、これと比較しても34.0%の減少になる。
ユーロスタットによると、ルーマニアの2021年のトウモロコシ生産量は1,519万トンと、EU内ではフランスに次いで多く、EU全体の20.9%を占めた。EU域内から域外への輸出量では2021/2022市場年度(2021年7月~2022年6月)に408万トンと、EU全体の67.9%を占める最大の輸出国だ。ペトゥレ・ダエア農業・農村開発相は7月19日、トウモロコシの2022年の生産量は干ばつにより、かなりのダメージを受けるだろうと話していた(「ブルームバーグ」7月19日)。
欧州委員会の資料によると、コンスタンツァ港輸出FOB価格は、2021/2022市場年度初(2021年7月第1週)は1トン当たり253.43ユーロだったが、市場年度末(2022年6月最終週)は346.01ユーロと36.5%上昇した。
ルーマニア農民協会(AFR)のダニエル・ボタェノイウ会長は、国内に効率の高い灌漑設備を導入する必要があるのはもちろん、加えて、干ばつに強い品種を導入する必要があると話した(「ディジ24(Digi24)」7月25日)。
農業・農村開発省は8月3日、灌漑インフラ整備に15億ユーロを割り当てると発表した。灌漑面積を約180万ヘクタールから262万ヘクタールに増やすなど、2027年までの予算執行で、このうち5億ユーロはEU基金が充てられる。
(西澤成世)
(ルーマニア)
ビジネス短信 aadfd2fb9ac8fd27