山脈横断高速道路の最難関工区の契約を締結、2027年の全通目指す

(ルーマニア)

ブカレスト発

2022年08月16日

ルーマニアを東西に横断する高速道路は、国土の中央にまたがるカルパチア山脈で分断されたままだ。この山脈を貫くシビウ~ピテシュティ間の高速道路建設工事の最難関である第3工区、37.4キロの設計・建設工事契約が81日に締結された。EU基金を財源とした契約額はVAT(付加価値税)除き53億レイ(約1,484億円、レイは通貨単位レウの複数形、1レウ=約28円)で、設計に12カ月、工期45カ月を要す。これで全5工区の契約が完了し、2027年の全線開通実現に一歩近づいた(添付資料表参照)(8月3日付adevarul外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

国土を東西に横断するA1号高速道路は、黒海の港湾都市コンスタンツァから首都ブカレスト東端まで、またブカレスト西端からカルパチア山脈東側のピテシュティまでは開通済みだ。山脈西側のシビウから西のハンガリー国境までの高速道路も、約15キロの工事部分を除いて開通済み(注)。交通の難所である第3工区は入札が進んでいなかったが、他の工区同様に、EU基金の財源を投じることで契約に至った。

ルノー傘下の地場完成車メーカー、ダチアの工場が立地するアルジェシュ県ミオベニ、またフォードの完成車工場が立地するドルジ県クラヨバ(2022年6月20日付地域・分析レポート参照)は、ともに山脈の南東側に位置することから、ルーマニア西部やハンガリー以西の部品メーカーからの仕入れや完成車ディーラーへの納品輸送は山脈を越えなければならない。産業界からは、山脈をまたがる高速道路の早期開通を切望する声を耳にする。

クラヨバ~ピテシュティ間では自動車専用道の建設工事が進む

ダチアが立地するミオベニとピテシュティの両市は隣接している一方、フォードの立地するクラヨバからピテシュティは約120キロ離れている。両都市を結ぶ自動車専用道の建設は、EU基金72,600万ユーロを財源として工事が進んでおり、2023年に全線開通の予定だ(欧州委員会の2021年3月24日の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

(注)全国の高速道路・自動車専用道路の開通、建設・改修工事、入札、F/S状況は道路実写 版 ブラック ジャック技術研究センター(CESTSRIN)作成の地図外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで随時把握できる。CESTRINのウェブページにアクセスすると、地図が一瞬表示された後、「Buna ziua!(こんにちは!)」という画面が表示される。この画面の左下にある「Nu mai afisati acest ecran informative(この実写 版 ブラック ジャック画面の表示を停止する)」のチェックボックスにチェックを入れ、右下の「OK」ボタンを押すと、地図が閲覧可能になる。

(西澤成世)

(ルーマニア)

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