大豆生産者への外貨優遇措置の導入で外貨準備の積み増しを目指す、中銀通達A7556
(アルゼンチン)
ブエノスアイレス発
2022年08月01日
アルゼンチン中央銀行は7月26日、中銀通達A7556を公布し、大豆を直接、または間接輸出する生産者に対して、受け取った代金の30%相当額の外貨購入を認めた。また、残りの70%は、ペソの対ドル公式為替レートが下落しても、それに連動して調整金が支払われる特別な預金口座に預け入れることができることを定めた。7月27日から8月31日までに輸出される大豆の取引が対象。
輸出代金として受け取る外貨は従来どおり、全額が現地通貨ペソに交換される。そのうち30%は、店頭の小売りレートに包括連帯税(通称:PAIS税)30%と所得・個人資産税35%の計65%を加算した為替レート(通称:連帯レート)で外貨に交換することができる。7月26日時点で1ドル=約226ペソになる計算だ。ただし、この制度を使って外貨を購入してから90暦日が経過するまでの間は、債券取引を通じた外貨の購入、外貨の売却はできないなどの制約が伴う。
今回の措置導入の背景には、生産者による公式為替レートの下落を見越した大豆の売り控えを回避し、外貨収入を増やす狙いがあるとみられる。大豆を中心とした油脂植物は外貨の稼ぎ頭の1つだが、外国為替市場における穀物・油脂産業の外貨の取引状況をみると、2022年1~5月は162億9,400万ドルの売り越しだが、前年同期比では18億2,800万ドルのプラスにとどまっている(添付資料図参照)。
今回の措置について、大豆の生産者団体からは「生産者にとって魅力が欠ける」との声が上がっており、大豆輸出の増加と外貨の積み増しにつながるかどうかは未知数だ。
(西澤裕介)
(アルゼンチン)
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