新型コロナにより、タイ人の8割がメンタルヘルスの不調を経験
(タイ)
バンコク発
2022年08月17日
英国調査会社ミンテルは7月27日、タイ人の10人に8人はメンタルヘルスの不調を経験しているとのレポートを発表した。同社が2022年2月から6カ月間、18歳以上のタイ人2,000人に対してアンケート調査を実施した結果、メンタルヘルス上の問題(複数回答)として、ストレス(有効回答中46%)、不眠症(32%)、不安(28%)が上位3項目として挙げられた。レポートではこれらの問題について、新型コロナウイルス感染拡大の長期化が影響していると分析している。
世代別では、18~24歳の38%が「孤独」を感じており、他の世代(32~40歳:26%、41~56歳:15%)よりも高い割合を示した。また、タイの若年層の3分の1以上が「自分に自信がない」と回答した。こうした若年層は、SNSなどで自身と他人を比較して起こる劣等感や、同調圧力によるプレッシャーなどから自尊心が低下し、うつ病、不安などの精神状態につながる可能性があることが指摘されている。
不眠症は、年齢を問わず、全ての世代で問題となっていることも明らかとなった。新型コロナ禍による外出自粛により、仕事とプライベートの境界線が曖昧になったことからストレスを感じ、不眠症が増えたとみられる。
一方で、タイ食品医薬品局(FDA)の統計データによると、中枢神経系(Central Nervous System)領域疾患(注)の処方薬の使用は増加しており、新型コロナウイルス感染拡大が始まった2020年における同処方薬の輸入額は、過去10年で最大となった。このことからも、タイにおいて新型コロナ禍とメンタルヘルスの問題の相関性がうかがえる。
(注)中枢神経系(Central Nervous System)領域の疾患とは、AD/HD(注意欠如・多動性障害)、双極性障害、うつ、統合失調症、自律神経失調症などが挙げられる。
(平林拓朗)
(タイ)
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