ドイツでガス賦課金額決定、負担軽減のためガスのVAT引き下げへ
(ドイツ、ウクライナ、ロシア)
デュッセルドルフ発
2022年08月24日
ドイツでは、10月1日からガス価格への賦課金制度の導入が決定されていたが(2022年8月12日記事参照)、トレーディング・ハブ・ヨーロッパ(THE、注)は8月15日、この賦課金がガス1キロワット時(kWh)当たり0.02419ユーロになると発表した。
今回の賦課金の算出に当たり、合計12社のガス輸入事業者がTHEに対し、2024年4月までにガス供給の逼迫によって追加でかかる調達費用の見通しを回答した。各事業者は追加コストの総額のうち10%を自己負担、90%をTHEに請求可能だが、THEへの請求額は340億ユーロとなると回答した。THEはそれを基に賦課金の価格を計算した。なお、天然ガスの調達費用は、ロシアによるウクライナ侵攻以前は1メガワット時(MWh)20~30ユーロだったが、8月中旬には約200ユーロになっている。
エネルギー各社の事情はそれぞれ異なり、例えば、エネルギー大手RWEは8月11日に2022年上半期が好調だったため、顧客への価格転嫁はせず、追加調達費用を全て自社で負担することを検討していると発表した。また、英国エネルギー大手シェルも追加費用を自己負担する予定と発表した(「ハンデルスブラット」紙8月15日)。
賦課金導入後の負担増については、ケルン経済研究所(IW)が8月15日に試算を発表している。それによると、いずれも付加価値税(VAT)抜きで、産業界は年間に合わせて57億ユーロ、個人に関しては140平方メートルの一戸建て住宅を持つ世帯の場合、年間542ユーロ以上の負担増になる。
EUは加盟国にガス賦課金に対してもVATの課税を求めている。クリスティアン・リントナー財務相は欧州委員会に対し、ガス賦課金へのVAT課税義務の一時的な免除を要請したが、欧州委は免除不可能とした(「ドイツ報道ネットワーク(RND)」8月16日)。それを受けて連邦政府は8月18日、天然ガスにかかるVATを標準税率の19%から軽減税率の7%に引き下げると発表した。軽減税率の適用は2024年3月31日まで有効で、政府はガス供給事業者に対し、税率引き下げ分を消費者に還元するよう求めている。
なお、連邦エネルギー・水道事業連合会(BDEW)が8月15日に発表した試算によると、賦課金が導入され、かつVATが7%に引き下げられた場合、年間消費量2万kWhの一戸建て世帯の負担軽減は378~454ユーロ、年間消費量1万3,333kWhの集合住宅世帯の負担軽減は252~303ユーロとなる(添付資料表参照)。
(注)ドイツ国内の全てのガスパイプライン事業者11社が2021年6月に共同で設立した法人。
(ベアナデット・マイヤー、作山直樹)
(ドイツ、ウクライナ、ロシア)
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