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(韓国)
ソウル発
2022年08月08日
韓国公正取引調整院(注1)は7月26日、オンラインプラットフォーム関連ビジネスの急激な成長に伴い、プラットフォーマーと出店事業者の間の紛争が大きく増加していると発表した。同調整院に紛争解決申請のあったオンラインプラットフォーム関連紛争は、この5年間で増加傾向にあり(添付資料表参照)、紛争が発生した分野も2017年は3分野だったが、2021年は12分野に拡大した(注2)。特に、オンラインプラットフォーム関連紛争のうち、電子商取引(EC)サイト事業者と出店事業者の間の紛争件数は、全体の紛争手続き申請件数の69%を占めるまでに至っている。
同院は、実際に発生した複数の具体的事例と対応方法を紹介している。そのうちの一例は次のとおり。
(1)出店事業者Aが事業者Bの運営するECサイトを通じ、正規品ではないソフトウエアがインストールされたパソコン(売買不適合製品)を販売した。
(2)事業者Bが約款に基づいて出店事業者Aに対して商品の販売停止措置を講じた後、多数の消費者から返品・交換などのクレームが発生する可能性への懸念から、当該売買不適合製品にかかる販売代金のみならず、正常に売買された製品の販売代金も支払いを留保する措置を取った。
(3)出店事業者Bは、売買不適合製品に関する販売代金の支払いが留保されることは認めたものの、正常な製品の販売代金の支払い留保は約款違反として異議を申し立てた。この結果、B事業者は異議を受け入れた。
この事例について、同院では、ECサイト運営事業者側は(1)非正規品の識別にかかる信頼できる手続きが必要で、(2)販売停止などの措置を講じる場合は、出店事業者に手続きや理由を事前に告知し事実関係を聴取する手続きを設ける必要があるとした。また、出店事業者は(1)販売する製品に知的財産権の侵害がないことに留意し、(2)特に並行輸入品は、真贋(しんがん)判定に注意を払うとともに、正規品として主張するに足りる証拠書類を事前に準備しておくことが必要としている。
ECサイトでの取引を含め、オンラインプラットフォーム取引にかかる事業者間の紛争が生じた場合、同院の紛争調整コールセンター(1588-1490)、またはオンライン紛争調整システムを通じ、相談または紛争解決手続きの申請が可能。
(注1)「独占規制および公正取引に関する法律」に基づき、2007年12月に設立された公正取引委員会傘下の機関で、不公正取引による紛争の調整を行うことで中小事業者の被害救済や市場と主要産業に対する調査・分析・研究などを担う。
(注2)2017年は3分野(ECサイト、ポータル、旅行仲介)だったが、2021年は9分野(配達、採用、ウェブサイト運営、デザイン、宿泊予約、運転代行、タクシー、中古品取引、電子決済)が追加された。
(当間正明)
(韓国)
ビジネス短信 6777b8a0f84f828d