フィンランドのデジタル化の進捗度合い、EUで1位に
(フィンランド、EU)
ロンドン発
2022年08月09日
欧州委員会は7月28日、2022年のデジタル経済社会指標(DESI)の報告書を発表し、フィンランドが1位となった。欧州委は2014年から、接続性、デジタルスキルを含む人的資本、デジタル技術の統合、デジタル公共サービスの4分野について、EU加盟国のデジタル化の進捗を、DESIを用いて報告している(「EUデジタル政策の最新概要」参照)。今回の報告書は、主に2021年のデータに基づいている。
フィンランドは2019年と2020年は1位、2021年は2位と近年、上位になっている。報告書は、フィンランドの強みとして、デジタル技術、データやサイバーセキュリティーの強い備えを挙げている。また、同国では、デジタル化に向けた取り組みが行政の垣根を越えて効果的に行われ、持続可能な未来をつくるために技術と無料 カジノ ゲームが活用されているとした。
同国では、世界最高水準のモバイルデータを活用し、企業も5G(第5世代移動通信システム)を活用しはじめている一方、地方における超大容量高速ネットワークの普及が課題として挙げられている。
報告書によると、フィンランドでは66%の企業がクラウドソリューションを利用している。また、同国企業は、ソーシャルメディアの利用率が高く(EU平均29%に対し51%)、電子請求書の利用率も高い(EU平均32%に対し83%)。さらに政府は、主要な公共サービスを全てオンライン化している。
政府は、2020年11月に発表した人工知能(AI)戦略で企業におけるAIの開発・導入を奨励し、フィンランド企業の16%がAI技術を業務に組み込んでいる。保健分野では、オンラインの個人医療記録システムを導入、同意書、処方箋などをポータルページで管理可能だ。
運輸通信局(TRAFICOM)は、2011年から高速ブロードバンドプロジェクトを実施。2022年2月開始の新たな援助プログラムでは、人口の少ない地域の家庭と事業所に高速接続を確保することを目的に、商業的には高速接続の数年以内の確保が困難とみられる地域でのネットワークの建設を支援するとしている。
企業によるAI導入例としては、デジタルテクノロジー企業リアクターは、小売店ケスコと提携し、同店が提供するコンテンツサイト「K-Ruoka.fi」において、機械学習とAIのアルゴリズムを導入した。これにより、顧客の実店舗やオンラインでの購入履歴に基づき、商品、レシピ、食品を推奨する。ケスコの担当者によると、この導入により、同サービスの売り上げは伸び、顧客ロイヤルティー(NPS)も高い水準となっている。
(島村英莉)
(フィンランド、EU)
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