米商務省、カナダ産針葉樹材のアンチダンピング関税・相殺関税引き下げ決定
(カナダ、米国)
トロント発
2022年08月08日
米国商務省は8月4日、カナダ産針葉樹材に賦課しているアンチダンピング関税(AD)と相殺関税(CVD)について、第3次行政審査の最終結果を発表した。審査の対象となった大多数の企業の輸出品への適用税率が現行の17.91%から8.59%へ引き下げられる。
商務省は1月に第3次行政審査の予備評価を行い、大多数の企業に対する適用税率を11.64%へ低下させる案を公表していた(米商務省、ギャンブル ゲーム)が、税率をさらに引き下げた。
発表を受け、米国木材連合会長でスティムソン・ランバーのアンドリュー・ミラー最高経営責任者(CEO)は同日、「米国の製造業が活性化し、米国の住宅を建設するために米国の労働者によってより多くの米国産木材が生産されることになる」と述べ、関税賦課の維持を歓迎した(米国木材連合8月4日プレスリリース)。
同連合によると、カナダの公有地からの伐採料は市場価格より低く設定されているため、カナダの針葉樹材生産者は米国生産者と不当に競争することになり、自由市場の下で運営されている米国製材所を不利な立場に追い込んでいるという。
一方、カナダのメアリー・エング国際貿易・輸出振興・中小企業・経済開発相は同日、「カナダは、米国がカナダ産針葉樹材に不当かつ不公平な関税を課し続けていることに失望している。大多数の輸出業者にとって、関税率は現行水準より下がるものの、真に公正な結果を得るには、米国がカナダ産針葉樹材への根拠のない関税の適用を停止することだ」との声明を発表した。
エング大臣はまた「これらの関税は、カナダの産業とその労働者に不当な損害を与えてきた。さらに、米国の消費者に対する税金のようなもので、供給難とインフレ圧力が高まる中、住宅を購入しにくい状況を悪化させている」と述べ、カナダ・米国・メキシコ協定(CUSMA)第10章に基づく紛争解決プロセスの開始などを通じて、第3次行政審査の最終結果に異議を唱える予定であることも明らかにした。
(飯田洋子)
(カナダ、米国)
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