英中銀、約30年ぶりの大幅な利上げを発表

(英国)

ロンドン発

2022年08月05日

英国イングランド銀行(中央銀行)は84日、前日3日に終えた金融政策会合を踏まえ、政策金利を0.5ポイント引き上げて、年1.75%とすると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。202112月以降6会合連続の利上げで、1995年以降最大の上げ幅となった。

今回の大幅な引き上げは、ロシアによる欧州へのガス供給制限により、20225月以降ガス卸売価格がほぼ2倍になったこと、労働市場が依然として逼迫していること、国内の企業コストと物価の圧力が高まっていること、さらに外部からもたらされる物価上昇により、これらの圧力がより持続的になるリスクがあることを考慮した。

ロシアのガス供給制限がエネルギー小売価格に反映されると、消費者物価指数(CPI)上昇率は6月時点の9.4%から2022年第4四半期には13%強の高い水準まで上昇すると予想されている。ガス価格の上昇により、家計の実質所得は2022年から2023年に急減し、消費の伸びはマイナスに転じると予想されている。さらに、急激なコスト上昇を反映して、企業が販売価格を大幅に引き上げる予定としている。労働市場においても、20225月までの3カ月間の失業率が3.8%で、求人率も歴史的な高水準にあり、厳しい状況が続いている。一方で、世界の価格上昇はこれ以上続かず、貿易財価格の上昇は減速すると予想され、インフレは時間の経過とともに解消されると予想されている。

2022年第2四半期のGDP成長率予測は前期比マイナス0.2%とされ、5月の金融政策報告書の0.1%から下方修正された。エネルギー価格高騰に伴う、実質所得の減少などが一因とみられる。

5月の会合で、金融政策決定委員会は、資産買い入れ制度(APF)で保有する英国国債の売却戦略について取り組むよう求めていた。今回、同委員会は、経済および市場の状況が適切と判断され、かつ9月中旬の次回会合での決議を条件に、売却開始を念頭に置いているとした。

(島村英莉)

(英国)

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