新憲法草案の国民投票まで1カ月、不透明感は拭えず
(チリ)
サンティアゴ発
2022年08月10日
チリで新憲法草案を承認するか否かを決する国民投票まで残すところ1カ月を切った。民間調査会社カデム(Cadem)が7月27~29日に実施した最新の世論調査によると、同草案に賛成38%に対して、反対48%という結果だった。さらに、賛成または反対としたうちの約9割が「今後自身の選択が変わることはない」とも回答しており、投票日に向けて浮動層が減少傾向にある様子もうかがえる。
今回の国民投票では義務投票制が採用されており(2022年7月13日記事参照)、それに関連して、政府の主導によって「チレ・ボタ・インフォルマド(CHILE VOTA INFORMADO)」と称したキャンペーンが行われている。同キャンペーンは、新憲法草案の内容への国民の理解を深め、投票意欲を高めることを目的とし、専用のウェブページ上のみならず、首都圏州内の地下鉄駅や地方都市で「中立の立場」からブラック ジャック 賭け 方発信を行うもの。一方で、これまで現政権のガブリエル・ボリッチ大統領や閣僚は個人の見解として、草案への支持を明確に訴えており、キャンペーンの中立性に疑義を抱く野党議員らが中心となってその内容を告発し、会計検査院に相当する国家機関による調査が進められている。
これまで新憲法草案への賛成を表明している政治関係者の中では、女性初のチリ大統領として2期にわたって政権を率いたミチェル・バチェレ氏(現在は国連人権高等弁務官)の存在が際立っている。同氏が7月23日に書面を通じ、草案に対する自身の賛意をあらためて示したことは記憶に新しい。
ただし、バチェレ氏やボリッチ大統領に代表される多くの「賛成派」に共通しているのが、新憲法草案は完全なものではなく、今後何らかの修正が加えられるべきと主張している点だ。この修正の内容を検討する時期については、「賛成派」の中でも意見が分かれていたが、現在では国民投票が実施される前に派閥内での合意形成をするという方向で調整が進められている。
(佐藤竣平)
(チリ)
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