EU、サル痘ワクチンを承認、一般住民の接種は不要との見解

(EU)

ブリュッセル発

2022年08月03日

EUの医薬品規制当局である欧州医薬品庁(EMA)は727日、サル痘への対応策をまとめた声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。世界保健機関(WHO)が23日にサル痘の感染拡大を「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」に認定したことを受けたものだ。EMA22日、デンマークのバイオ医薬品会社ババリアン・ノルディックが開発し、天然痘ワクチンとして既に承認されている「インバネックス」(米国での販売名「ジンネオス」)をサル痘のワクチンとしても承認するよう勧告。その後、欧州委員会による販売承認を受けている。サル痘の治療薬に関しても、米国のSIGAテクノロジーズが開発した天然痘の治療薬「テコビリマット」を承認している。EMAは今後、サル痘の公衆衛生上の緊急事態に対応すべく、重要な医薬品リストを策定し、対象となる医薬品の販売承認取得者に対して、在庫数や今後の需給予想、潜在的・実際の不足状況の定期的な報告を求めるとしている。

なお、サル痘用として新たに承認されたワクチン「インバネックス」に関して、欧州委は614日、EU全加盟国とノルウェー、アイスランドを代表して、ババリアン・ノルディックと109,090回分の購入契約を締結。628日には第1回分として5,300回分のワクチンがスペインに提供されている。

ECDC、一般住民への感染拡大の可能性は非常に低い

欧州疾病予防管理センター(ECDC)は81日、キプロス、リトアニア、リヒテンシュタインを除く欧州経済領域(EEA、注)の域内で累計12,186件の感染が報告されたと発表(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。また、ECDC78日の感染の拡大状況の更新外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、域内の感染例の大部分が複数の男性と性交渉を持つ1850歳の男性であり、こうした男性間の感染拡大の可能性は高いものの、一般への感染拡大の可能性は非常に低いと評価。感染拡大予防には早期診断と隔離、効果的な接触者の追跡が重要で、現時点では一般住民を対象としたワクチン接種の必要性はないとした。ただし、感染リスクの高い特定の個人に対するワクチンの暴露前予防接種は非常に効果的だとしている。

(注)EUの全27加盟国とノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタイン。

(吉沼啓介)

(EU)

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