米中ビジネス評議会、ブラック クイーン ブラック ジャック
(米国、中国)
ニューヨーク発
2022年08月31日
中国で事業を行う米国企業で構成する業界団体の米中ビジネス評議会(USCBC)は8月29日、中国での経営実態などに関して会員企業を対象に実施したアンケート調査の結果を発表した。調査は6月中に117社を対象に実施した。
全体の総括によると、中国政府による新型コロナウイルスのゼロコロナ政策や、新たなデータプライバシー関連の政策、緊張が続く米中関係とそこから派生するさまざまな規制を受け、中国のビジネス環境に対する見方はかつてないほど悲観的になっている。「向こう5年間の中国ビジネスの見通しは」との問いに対して、「悲観的」または「いくらか悲観的」と回答した割合は21%で、前年の9%から拡大した。「3年前と比べて中国でのビジネス環境をどう見るか」との問いにも、「あまり楽観的ではない」との回答は83%で、前年比で24ポイント増となった。
対中ビジネスの課題のトップ10には、(1)新型コロナ政策(シャットダウン)、(2)米中関係、(3)新型コロナ政策(渡航規制)、(4)データ・個人情報・サイバーセキュリティー規則、(5)コスト上昇、(6)米中の技術的デカップリング、(7)中国での中国企業との競争、(8)産業政策、(9)中国の調達政策、(10)知的財産権の保護が挙がった。(1)と(3)がいわゆる中国政府によるゼロコロナ政策となる。「ゼロコロナ政策が既存事業に与えた影響は」との問いに、「深刻な負の影響を与えた」または「やや負の影響を与えた」と96%が回答している。その具体的な影響としては、「中国で事業を行う地政学的リスクの複雑化」(73%)、「中国の従業員への心理的な影響」(67%)、「中国市場に対する本社の信頼低下」(65%)などが挙げられた。また、回答企業の半数以上が投資計画を停止または延期、撤回したと回答している。一方で「ゼロコロナ政策が変更された場合、規制措置による中国市場への負の影響は元に戻り得るか」との問いには、要する期間は異なるものの、「戻り得る」と86%が回答しており、中期的には一過性の影響とみることができる。
一方(2)について、「米中対立が事業に影響を与える」と回答した会員企業は87%に上り、調査開始以来最も高い割合となった。USCBCは「この傾向は米国の政権が変わっても続いており、緊張関係は長期的で、その解消は困難とみられる」としている。USCBCは結論で、中国に対して感染対策と経済成長を両立させ、市場アクセスを改善し、ゆがんだ産業政策を抑制することで、外国企業に公平な競争条件を整えることを要望するとともに、米中双方に対して安全保障問題の範囲を極力狭めることで、貿易や投資に与える不測の影響を回避すべきだと提言している。
(磯部真一)
(米国、中国)
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