ベルギーのユミコア、カナダ・オンタリオ州でEV電池素材工場建設へ
(カナダ、ベルギー)
トロント発
2022年07月22日
ベルギーの非鉄金属・化学大手のユミコアは7月13日、カナダ・オンタリオ州ロイヤリストに電気自動車(EV)電池用の正極材(CAM)とその前駆体材料(pCAM)の生産拠点を建設予定と発表した。
2023年の着工、2025年末の稼働を目指し、10年後には年間約100万台のEVを駆動できる生産能力を確保する予定。同社によると、正極材と前駆体材料を大規模商業生産する北米初の施設となり、カナダで天然資源からEVまでのバッテリーバリューチェーンで欠けていた部分を完成させることになるという。
また、同社はカナダ政府との間で、同政府の「戦略的イノベーションファンド」による財政支援を受けるための覚書に同日付で署名したことも明らかにした。条件や支援額などの詳細はまだ交渉中で明らかにされていない。
発表が行われた記者会見には、同社のマタイアス・ミエドリック最高経営責任者(CEO)に加え、ジャスティン・トルドー首相、連邦やオンタリオ州政府の関係閣僚が出席した。
トルドー首相は「ユミコアがロイヤリストに新施設を設立しようとしていることは、EVの生産において、カナダが鉱物から製造まで世界的なリーダーになるためのさらなる大きな前進だ」とコメントした。
また、ミエドリックCEOは「鉱山からEVの最終市場まで電池材料の本格的で持続可能なサプライチェーンを確立するために必要なものは、カナダとオンタリオ州に全てそろっている。主要顧客との契約締結が完了すれば、北米での事業拡大により、自動車や電池の顧客向けの地域別サプライチェーン構築によるグローバル展開が3大陸で完了することになる」と述べ、新施設がカーボンニュートラルなバッテリーサプライチェーンを実現するというカナダとユミコアの共通の目標に貢献することになるとした。
カナダ政府の発表によると、ユミコアの投資額は15億カナダ・ドル(約1,605億円、Cドル、1Cドル=約107円)に上り、建設期間中に1,000人の雇用を創出するほか、稼働後は数百人の正社員の雇用が予定されているという。
カナダではここ数カ月、自動車メーカーのホンダ(関連オンライン ブラック ジャック)、ゼネラルモーターズ(GM、)、ステランティス(2022年5月10日記事参照)がオンタリオ州でのEV生産に向けた投資について相次いで発表している。
(飯田洋子)
(カナダ、ベルギー)
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