上半期の総電力消費量に占める再エネ比率は50%弱、前年同期より増加
(ドイツ)
デュッセルドルフ発
2022年07月14日
ドイツ連邦エネルギー・水道事業連合会(BDEW)とバーデン・ビュルテンベルク州太陽エネルギー・水素研究センター(ZSW)は7月5日、2022年上半期の国内総電力消費量に占める再生可能エネルギーの割合(暫定値)を発表した。同割合は前年同期比で6ポイント増の約49%だった(添付資料表参照)。割合が増えた主因としては、前年に比べ1~2月に風の強い日が多かったことと、5~6月に日照時間の長い日が多かったことを挙げた。再エネの内訳をみると、陸上風力発電が21%、太陽光発電が12%、バイオマス発電が8%、洋上風力発電が4%、水力発電が3%、廃棄物発電が1%だった。
BDEW執行委員会のケルスティン・アンドレエ委員長は「ロシアからの天然ガス供給量の減少(2022年7月4日記事参照)により、ドイツのエネルギー供給は非常事態にある。将来、このような事態を避けるため、再エネの急速な拡大が最も確実な方法だ」と述べた。また「再エネはグリーン電力・熱供給や水素を利用して製造する産業、カーボンニュートラルなモビリティーのカギとなる」と続けた。特に、陸上風力発電の拡大に関しては、利用可能な土地を増やすことが急務と指摘し、政府は可能であれば遅くとも2025年までに国土面積の2%までを陸上風力発電所として利用可能とするべきと強調した。ドイツ風力エネルギー協会(BWE)の6月27日の発表によると、2022年1~5月に新たな風力発電所の建設許可は252基にとどまった。前年の同期間には294基の建設が許可されており、許可件数は14.3%減少したことになる。同協会は拡大のペースが遅いと警鐘を鳴らした。
ZSWのフリトヨフ・シュタイス執行役員は太陽光発電の拡大も重要だと強調した。再生可能エネルギー法が定める、2030年までに太陽光発電の設備容量を215ギガワット(GW)に拡大する目標(2022年4月18日記事参照)の達成には、2026年以降、年間22GWという前例のない規模の拡大を実現する必要があるとした。一方、ソーラーパネルに必要なウエハーのほとんどは中国産だ。これは、ドイツの気候保護とエネルギー安全保障のため達成しなければならない太陽光発電の拡大目標実現に対する重大なリスクでもあると指摘し、同リスクを中期的には減らし、ドイツと欧州にバリューチェーンのより大きな部分を移行させるため、ドイツは太陽光発電に関するEUの「欧州共通利益に適合する重要プロジェクト(IPCEI)」立ち上げに積極的に貢献すべきとした。
(ベアナデット・マイヤー)
(ドイツ)
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