輸入時のL/C開設のための保証金を追加増額、外貨準備高維持へ
(バングラデシュ)
ダッカ発
2022年07月19日
バングラデシュ中央銀行は7月4日、輸入を抑止し外貨準備高の水準を維持するためにこれまで講じていた輸入時にかかる信用状(L/C)開設のための保証金〔自動車、電化製品などは輸入額の75%、その他(生活必需品や輸出志向型産業にかかる品目は除く)は同50%(2022年5月30日記事参照)〕について、さらなる適用対象の拡大と保証金の率を引き上げることを発表し、即日発効した。主な内容は以下のとおり(添付資料参照)。
- セダン、SUV(スポーツ用多目的車)、MPV(注)などの自動車、電化製品、金・金装飾品、貴金属・宝石類、衣料品、皮革製品、ジュート製品、化粧品、家具・装飾品類、果実、花、非穀物食品、加工品(缶詰食品、チョコレート、ビスケットなど)、飲料(ジュースやソフトドリンクなど)、嗜好(しこう)品(アルコール飲料、たばこ類など)については、輸入時のL/C開設時に輸入額の100%の保証金を拠出する必要がある。
- ベビーフード、必需食料品、燃料、保健省に認可された生命維持の治療にかかる医薬品、地場産業・輸出志向型産業、農業分野、政府の優先プロジェクト実施にかかる資本財や原材料については、同75%以上の保証金
- 保証金については、輸入者自身で賄われなければならず、借り入れによる支払いは認められない。
これまで、輸出志向型産業や生活必需品などについては本措置の対象外だったが、今回の追加措置により対象となった。現地日系企業にとっても、これまでは輸入時に必要とされなかった保証金を事前に拠出する必要があり、資金繰りに影響が及ぶ可能性がある。
ロシアによるウクライナ侵攻や新型コロナ禍による資源価格、材料費などの高騰を受け、バングラデシュでは、2021年7月~2022年5月の輸入額が754億ドル(前年同期比39%増)と大幅に増加している。このため、外貨準備高は422億200万ドル(2022年5月末時点)で、輸入の5カ月分相当まで減少している。バングラデシュ政府にとっては、輸入を抑制することで外貨準備高の減少を抑え、さらなる通貨タカ安を阻止することが重要となる。
(注)Multi Purpose Vehicleの略で、日本では「ミニバン」と呼ばれるタイプを指す。
(安藤裕二)
(バングラデシュ)
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