H&M、ロシア事業終了に向けた手続きの開始を発表
(スウェーデン、ロシア)
欧州ロシアCIS課
2022年07月20日
スウェーデンの衣料大手エイチ・アンド・エム ヘネス・アンド・マウリッツ(H&M)グループは7月18日、ロシア事業終了に向けた手続きの開始を発表した(同社プレスリリース)。操業上の困難および市場予見性の低さが要因としている。同社は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻開始後、ロシアにおける販売を停止していた。
H&Mグループのヘレナ・ヘルメルソン最高経営責任者(CEO)は「慎重に検討した結果、昨今の状況下ではロシアにおけるビジネスの継続は不可能だという判断に至った」とコメントしている。
撤退にかかる費用は総額20億クローナ(約260億円、1クローナ=約13円)。このうち、10億クローナが同社のキャッシュフローに影響するとしている。
H&Mをはじめとする外資系ファッションブランドの撤退により、ロシアのショッピングセンターが悪影響を被る可能性がある。商業施設の開発・運営に携わっているアレクセイ・バンチュゴフ氏によれば、主要ブランドの店舗はショッピングセンターの集客に大いに役立っていたが、昨今の情勢では、撤退したブランドの代わりを見つけるのは難しいという。また、商業不動産サービスを展開するCORE.XP小売事業部のマリア・マラハチコ部長は、ロシアから撤退する外資系ブランドを地場ブランドや中国、トルコのブランドと置き換えたとしても、ショッピングセンターは以前と同じように収益を上げることは難しいとしている(「コメルサント」紙7月19日)。
(宮下恵輔)
(スウェーデン、ロシア)
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