住友商事、米核融合関連企業TAEテクノロジーズへ出資参画
(米国、日本)
ヒューストン発
2022年07月26日
住友商事は7月20日、米国の核融合関連企業TAEテクノロジーズ(本社:カリフォルニア州フットヒル・ランチ)に6月30日に出資参画したことを発表した。
住友商事は今後、TAEとの協業を通じて、脱炭素とエネルギー問題の切り札といわれる核融合分野への知見を深め、社会実装に取り組むことで、カーボンニュートラル社会の実現をより一層進める方針だ。
核融合反応から発生するエネルギーを使う核融合発電は、二酸化炭素(CO2)を排出せず、安全性の観点で優れた特性を有していることから、次世代のベースロード電源として期待されている。また、万が一事故が発生しても、核融合反応は燃料の入射や電源が止まれば反応も止まるため、原理的に暴走が起こらない仕組みになっている。一方で、核融合反応の長時間維持や中性子に耐え得る材料開発など解決すべき課題も残されている。
TAEは1998年に設立され、先進燃料 p-B11(水素とホウ素)を用いることで、中性子が発生せず放射性物質が生成されない、より安全な核融合炉の開発・運転を目標としている。TAEは20年以上にわたり実験炉の建設・運転実績を持ち、商用化実現に必要な実験データや経験を豊富に保有している。2014年には米グーグルとも提携し、資金面だけでなく、核融合炉開発にグーグルの機械学習技術を活用している。TAEはこれらの経験やパートナーとの連携を生かし、2020年代後半に核融合炉の商用化を目指している。
住友商事が2021年4月に設立したエネルギーイノベーション・イニシアチブは「カーボンフリーエネルギーの開発・展開」を戦略の1つとして掲げている。今回のTAEへの出資参画を通じて、核融合発電の最先端の技術・業界動向への理解を深め、住友商事の知見・経験も生かし、核融合発電の社会実装を目指すとともに、発電以外の用途開発にも幅広く取り組むことで、カーボンニュートラル社会の実現に貢献することとしている。住友商事では、エネルギーイノベーション・イニチアチブ傘下に、インキュベーションチームを設立し、将来のディスラプティブなソリューションも模索している。
(沖本憲司)
(米国、日本)
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