航空・空港職員不足により多くの便が欠航
(ドイツ)
ベルリン発
2022年07月11日
ドイツ国内の空港は、夏季休暇の時期に入って混乱を来している。多数のフライトキャンセルの発生、空港での搭乗手続きやセキュリティーチェックに数時間を要する事態が生じている。新型コロナウイルス危機に伴い、航空会社や空港の専門職員が大量に離職し、人手不足に陥っていることなどが原因とされている。
この問題を解決するため、航空会社や空港運営会社は解決策として、外国人労働者の一時的な雇用を許可するよう連邦政府に要請していた。これを受け、連邦政府は6月29日に記者会見し、主にトルコからの外国人労働者を迅速に雇用できる措置を取ると発表した。記者会見でフーベルトゥス・ハイル労働・社会相はこの措置は時限的な措置とした。また、他の産業分野でも熟練労働者が不足しており、その確保のためにドイツがより魅力的な労働市場となるよう、今秋に移民に関する法律を改正すると説明した。なお、連邦政府は7月6日、移民に関する一連の法律の改正案パッケージを閣議決定した。
ドイツ経済研究所(IW)は6月22日に航空・空港業界の熟練労働者不足に関する調査結果を発表した。同調査によると、新型コロナ危機の影響による減便や運航中止が行われた結果、人員削減によって客室乗務員と地上職員は約7,200人減少したという。新型コロナ危機の影響のなかった2018~2019年と、影響を受けている2020~2021年の雇用に関する調査を比較すると(注)、ドイツ国内の全産業部門では雇用者数は1.1%増加したが、航空・空港部門では4.1%減となった。特に、客室乗務員やチェックインを行う地上職などの専門職は直近2年間で15%減少した。航空輸送サービスの専門職にあった離職者は既に別の仕事に就いている可能性が高く、人員確保の見通しは厳しい。
ルフトハンザ航空は6月23日に夏季ダイヤ2,200便の追加運休を発表したことが報じられた(「ハンデルスブラット」紙6月23日付など)。7月の900便運休が既に発表されていたため、合計で3,100便の夏季運航中止となる。さらに、7月8日から14日までフランクフルト空港とミュンヘン空港での運休をさらに追加し、子会社のルフトハンザ・カーゴの航空貨物便にも影響が出ているとしている(「フランクフルター・アルゲマイネ」紙7月7日付など)。ベルリン・ブランデンブルグ空港は6月30日に、空港利用者が増加する夏季休暇期間を控え、出発の2時間半前に空港に到着してチェックインとセキュリティーチェックを行うよう呼びかけた。
(注)2018年7月1日~2019年6月30日と2020年7月1日~2021年6月30日の平均の雇用者数を比較した。
(ヴェンケ・リンダート、中村容子)
(ドイツ)
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