昆虫からペットフード、スタートアップのプロテンガが製造拠点拡大へ

(シンガポール、マレーシア)

シンガポール発

2022年07月20日

昆虫を原料としたペットフードを開発するシンガポールのスタートアップ、プロテンガのレオ・ウェイン創業者兼最高経営責任者(CEO)は74日、ジェトロのインタビューで、隣国マレーシアのジョホール州を皮切りに、昆虫の飼育農場や製造拠点を内外に拡大していく計画を明らかにした。同社は現在、ジョホール州にアメリカミズアブ(black soldier fly)の飼育農場とペットフードの製造施設を設置している。同CEOによると、プロテンガは犬や猫などを対象としたペットフード向けに、アメリカミズアブの飼育から製造までの一貫生産を手がけるアジアでも最大級の企業だ。

プロテンガはシンガポールで2016年に創業。マレーシア・ジョホール州へは2018年に進出し、同州にアメリカミズアブを飼育する農場と、この昆虫の幼虫を主原料としたペットフードの製造拠点を置いている。ウェインCEOによると、アメリカミズアブの飼育サイクルは約8日間。鶏なら食用に成長するまでに約3035日間かかるのと比べれば、アメリカミズアブの成長サイクルは短く、ほぼ毎週収穫ができる。また、飼育に必要な水や電力などの使用量も家畜に比べて低く抑えられ、環境への負荷が少ないという利点がある。さらに、同CEOは「(アメリカミズアブは)味も良く、栄養が豊富であり、(ペットの)消化にも良い」と指摘した。

同社は現在、犬や猫、魚向けペットフードの原料用にアメリカミズアブ由来の粉末や油を製造して販売。また、副産物としてアメリカミズアブのふんを利用した肥料も販売する。さらに、20224月からシンガポールとマレーシアでウエットタイプの犬用ペットフード「ヤムグラブズ(yumgrubs)」の販売を開始した。

一方、アメリカミズアブが餌とするのはパーム油の搾りかすなど食品廃棄物だ。同社は今後、アメリカミズアブの餌が調達できる場所に農園や生産拠点を拡大していく方針だ。同CEOによると、マレーシアの北部や、インドネシア、タイ、ベトナムにも拠点を拡大する計画だとしている。同CEOは今後の提携先として「(昆虫の)餌となる食品廃棄物を提供できる日系企業を含む食品会社や商社、輸送会社と、協業していきたい」と述べた。

写真 プロテンガのマレーシア・ジョホール州の昆虫農園前に立つレオ・ウェイン創業者兼CEO(ブラック ジャック 確率撮影)

プロテンガのマレーシア・ジョホール州の昆虫農園前に立つレオ・ウェイン創業者兼CEO(ジェトロ撮影)

(本田智津絵)

(シンガポール、マレーシア)

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