猛暑の米テキサス州、停電回避へ節電要請を実施

(米国)

ヒューストン発

2022年07月13日

米国テキサス州内の9割の電力系統運用を行うアーコット(ERCOTElectric Reliability Council of Texas)は710日、同州での連日の記録的な猛暑による電力需給逼迫のため、州内の家庭や企業に対し節電要請を行った。

アーコットは、711日午後28時の時間帯における自主的な節電を求めた。節電要請は、予測される余剰電力量が30分以上にわたって2,300メガワット(MW)を下回る可能性がある場合に実施される。特に電力需給が逼迫すると予想された711日午後2時から3時までの間の電力供給量は8168MW、電力需要量は79,761MWで、余剰電力量は407MWと予想され、節電要請基準を大幅に下回ることが見込まれていた。なお、節電要請の結果、同日の停電は回避された(ロイター712日)。

同機関によると、今回の節電要請の主な要因として、テキサス州および米国中部を広く覆う熱波により電力需要が大幅に増加していること、また、太陽光発電がおおむねフル稼働に近い状態に達している一方で、風がほとんど吹かず、風力発電が例年同時期の発電量を大幅に下回っており、風力発電は発電容量の8%程度にとどまっていることを挙げている。

なお、テキサス州では2021215日に、寒波の影響で、380万世帯以上に大規模な停電が発生した。アーコットによると、同州内風力発電所のタービンの凍結、火力発電所へのガス供給の滞りが発電能力を低下させたことが理由だとしている(2021年2月16日記事参照)。テキサス州のグレッグ・アボット知事は同機関に対して、寒波の脅威を過少評価したことに加え、徐々に輪番停電を開始できたにもかかわらず、完全停電寸前まで決断が遅れ、大規模な停電につながったと対応を批判していただけに(2021年3月2日記事参照)、引き続き猛暑が続くと予想される中、同機関には安定した電力系統運用が強く求められている。

(沖本憲司)

(米国)

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