2021/2022年度輸出額は初の500億ドル超え、前年度比34.4%の大幅増
(バングラデシュ)
ダッカ発
2022年07月13日
バングラデシュ輸出振興庁(EPB)が7月に発表した輸出統計によると、2021/2022年度(2021年7月~2022年6月)の輸出額は520億8,266万ドルで、前年度比34.4%増だった。輸出額が初めて500億ドルを超えて過去最大となり、新型コロナウイルス禍からバングラデシュ経済の回復基調を示すかたちとなった。
主要品目の縫製品の輸出額は426億1,315万ドルで、前年度比35.5%増となり、全体の輸出額の81.8%を占めた。縫製品のうちニット類は前年度比36.9%増の232億1,432万ドル、布帛(ふはく)類も33.8%増の193億9,884万ドルと、ともに好調だった。
2021/2022年度は新型コロナ禍に加え、ロシアによるウクライナ侵攻に起因する資源価格や原材料、輸送費の高騰などで厳しい事業環境となり、輸入額の増加率は輸出額のそれを上回っている。バングラデシュ銀行(BB)が公表する対ドルの通貨タカの為替レートは1ドル93.45タカ(7月3日時点)と、2022年1月当初の85.8タカ(1月2日)から6カ月で8.9%下落している。タカ安傾向が続いた場合、今後の輸入にも大きな影響を与えるため、政府も警戒感を強めている。
2021/2022年度にダッカ日本商工会繊維部会長を務めた小山博之帝人フロンティア・ダッカ事務所長は「この年度は新型コロナウイルスに起因する大きな行動規制もなく、新型コロナ禍の中では初めて、縫製工場が年度を通じてフル稼働できた。ファッション分野のビジネス動向については、欧米向けオーダーが非常に活況を見せ、バングラデシュの縫製産業としては記録的な輸出額となるほど大変好調なシーズンだった。一方、日本向けオーダーについては、特に納期が過去2年のシーズンよりもはるかに厳しい状況に見舞われ、生産管理や出荷に大変苦労したシーズンだった。バングラデシュはもはや世界の衣料品調達先として欠かせない存在のため、この国で長期的に生産・調達を行う上で、オーダーの生産管理上のリスクマネジメントが大変重要と感じる。2022/2023年度は前シーズンより納期や価格でも改善していくことを期待している。国際的な綿花価格が下がり始めたため、バングラデシュの調達価格にも早晩反映されると考えているが、綿半袖Tシャツのような量産オーダーの成約ピーク時期(8~10月)に(調達価格の低下が)間に合うのかどうかがポイントとなる。納期と価格のバランスをよく考慮し、積極的に調達の拡大を展開できるかがカギとなるのではないか」と話している。
(安藤裕二)
(バングラデシュ)
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