米郵便公社、新規調達の郵便配達車両8万5,000台の最低4割をBEVに
(米国)
ニューヨーク発
2022年07月26日
米国郵便公社(USPS)は7月20日、新規に調達する郵便配達車両のうち、少なくとも半数をバッテリー式電気自動車(BEV)にすると発表した。USPSは2022年2月、温室効果ガス(GHG)排出量削減に向けた取り組みとして、配達車両を従来のガソリン車から電動車に移行する「次世代配達車両(NGDV)」プログラムを発表。今後10年間で調達予定の約16万5,000台の郵便配達車両のうち、1割程度をBEVとする予定としていたが(2022年3月14日記事参照)、環境保護団体やGHG排出削減を積極的に推進する16州などがより多くの車両をBEVに置き換えることを求めてUSPSを提訴していた。
USPSは今回の発表の中で、調達契約済みで米国自動車・防衛関連企業のオシュコシュ・ディフェンスに発注する郵便配達用にカスタマイズした5万台の車両のうち、半数以上をBEVにするとした。このほか、BEVを含む市販の車両3万4,500台の調達も検討しており、USPSは合計8万4,500台のうち少なくとも4割をBEVすることを見込んでいる。これら配達車両の運用は2023年後半に開始される予定となっている。
ガソリンを燃料とする郵便配達車両が排出するGHGは乗用車の30倍近くになると推定されており、政権高官からは、生態系に恒久的な悪影響を与える可能性があるとの声が聞かれる(「ワシントン・ポスト」紙電子版7月20日)。USPSは「運用に関わる戦略や技術の進化、将来的なEVの利用可能性の増加など市場環境の変化に対応するため、より短期間で車両の評価や調達を進めていきたい」と述べている。
USPSは今回の発表に関して、8月8日午後7時(米国東部時間)に公聴会を開催し、同月15日までパブリックコメントを募集する。詳細はUSPSホームページを参照。
(大原典子)
(米国)
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