マハーラーシュトラ州の主要工業団地が4年ぶり値上げ
(インド)
ムンバイ発
2022年07月20日
インド西部マハーラーシュトラ州(以下、MH州)の産業開発公社(MIDC)は6月30日、同公社が運営する州営工業団地の販売価格の改定を発表した(注)。2018年8月以来約4年ぶりの改定で、2022年7月1日から適用。MIDCは原則、2年ごとに工業団地の販売価格を見直しているが、新型コロナウイルスの影響で2020年、2021年と2年連続で価格改定を延期していた。
日系企業専用工業団地があるスパ工業団地、プネ市から近く日系製造業が多く進出するチャカンやランジャンガオンなど、MIDCが開発・運営する工業団地の販売価格を一律10%値上げした(添付資料表参照)。例外はシェンドラ(オーランガーバード市近郊)で20%の値上げ、またケードやミハンなどMIDCが民間開発業者に出資している工業団地はほぼ毎年独自に改定しているため、今回の州政府決定措置の対象外。
MH州は、金融・商業の中心地であるとともにインド最大の生産額を誇る工業州で、インドの最大都市ムンバイ、工業都市プネ、スマートシティー構想で注目されているオーランガーバードなど、同州の主な都市周辺に外資系企業や工場が数多く立地しており、MIDCが運営する289カ所の工業団地のうち空き区画が残っている物件は数えるほどで、用地需要に対して供給が逼迫している。例えば、スパ日本企業専用工業団地は日系企業3社が進出決定しているのに対して、同工業団地に隣接する一般区画は、欧米系や中国系、地場企業5社が既に生産開始しており、そのほか4社が工場建設中、8社が投資認可取得と続々と投資が決定している。そのため、日本専用区画の一部を購入したいという問い合わせもあるという。
ハリアナ州、ラジャスタン州といったインド北部、タミルナドゥ州、カルナータカ州といったインド南部のほぼ中間に位置するMH州は、各州と幹線道路や鉄道網でつながっており、インド最大のコンテナ港ジャワハルラール・ネルー港(JNPT)や国際貨物取扱量2位のムンバイ空港は輸出志向の製造業にとって物流ハブとして好適で、最近、他州を悩ませる電力供給など、充実した産業インフラが特徴だ。増え続ける投資需要に対して供給サイドへの期待が高まっている。
(注)MIDCの通達はマラティー語原文のみ(添付資料参照)。
(松永宗徳)
(インド)
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