英政府、イスラエルとのFTA交渉開始、サービス分野に期待
(英国、イスラエル)
ロンドン発
2022年07月28日
英国のアン・マリー・トレビリアン国際通商相は7月20日、イスラエルとの新たな自由貿易協定(FTA)締結に向けた交渉を開始することを発表するとともに、交渉方針を公開した。同FTAについては2022年2月から3月末まで意見公募が行われていた(2022年2月8日記事参照)。
現在、英国とイスラエルとの間では、EUから継承して2021年1月に発効した「貿易・連携協定(TPA)」がある。国際通商省によると、2021年の対イスラエル輸出額(財、サービス)は25億ポンド(約4,125億円、1ポンド=約165円)で、うち財が約6割の15億ポンド、サービスが10億ポンドとなっている。イスラエルからの輸入額は25億ポンドで、うち財が約7割の17億ポンド、サービスが8億ポンドだ。英政府は、イスラエルのデジタル製品やサービスの需要は急速な拡大が予想されている一方で、現在のTPAにはサービスに関する特定の条項がないため、今回の新たなFTAにより最大7,800万ポンドのサービス輸出の拡大が期待できるとしている。特に金融や法務、専門職、ビジネス、運輸などのサービス分野別に現代的なルールを盛り込み、英企業を支援するとしている。また、英企業関係者がイスラエルで活動するためのアクセスの改善なども交渉方針に盛り込んでいる。
このほか、デジタル章を盛り込み、両国間のデジタル貿易の機会を最大化するとしており、新興技術などの分野で協力を推進するとした。また、新興のビジネスモデルや世界的なトレンド、事象も柔軟に取り入れ、イノベーションの推進で重要な役割を果たすことができるよう、野心的な条項に合意することを目指すとした。
また、人工知能(AI)などの分野の協力や先端製造分野などの輸出では知的財産権も重要とし、透明かつ効果的、効率的な知的財産権の執行の促進、越境協力の推進など、英国の水準を保護するような条項を盛り込むことを目指すとしている。
(山田恭之)
(英国、イスラエル)
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