後払い決済市場規模見通しは2022年756億ドル、2024年1,121億ドル、米民間調査
(米国)
ニューヨーク発
2022年07月01日
米国調査会社イーマーケターが6月16日に公表したレポートによると、米国での後払い決済〔バイナウ・ペイレーター(BNPL)〕2022年の取引額は前年比77.3%増の756億ドルとの見通しが示された。
BNPLは商品やサービスを購入した後に代金を支払うもので、事業者により形態は異なるが、一般的には一定期間内での分割による後払いの形式をとり、その際に利子や手数料はかからない。加えて、クレジットカードのような厳格な信用審査がないため、学生など若い世代を中心に米国などで利用が広がっている(特集:新型コロナ禍における北米地域の新たな消費トレンドEC市場拡大に伴い、後払いサービスが成長(ブラック)。
レポートによれば、2022年のBNPLの米国の利用者数は前年比56.1%増の7,900万人に拡大し、2026年には1億人の大台に達するとしている。取引額は増加が続き、2024年には1,000億ドルを超え約1,121億ドルに達すると見込んでいる。1人当たりの消費額も順調に伸びており、2022年は年間957ドル、2023年には1,075ドルに伸びるとした。また、2022年においてインターネットユーザーの30%以上がBNPLを利用しており、これは前年比56.1%の伸びで、2026年には40%近くにまで達するとしている。
一方で、今後の市場の動向に不確実性が伴うことも指摘している。同社が6月27日に公表したレポートでは、支払いが柔軟で利用が容易であるがゆえに、今後の規制当局の動向や各社参入による競争の激化、そして今後のリセッション(景気後退)の影響といった大きなリスクに、BNPL各社がさらされていることにも警鐘を鳴らしている。連邦準備制度理事会(FRB)が毎月公表している消費者信用残高データによると、クレジットカードなどのリボルビング払いは、2022年3月は前月比(年率)で29.0%増、4月は19.6%増と最近になって急増している。こうしたリボルビング払いをしている利用者が後々になって支払いに窮する可能性も考えられ、審査や支払いがクレジットカードよりも容易なBNPLではこうした可能性がさらに強まることも予想される。BNPLの市場動向とともに、BNPL利用者を含めて米国家計の債務状況の変化および、それが消費に与える影響にも今後留意が必要だ。
(宮野慶太)
(米国)
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