マレーシア中銀、金利を2.25%へ再利上げ

(マレーシア)

クアラルンプール発

2022年07月08日

マレーシア中央銀行は、76日の金融政策会合(MPC)で、政策金利を0.25ポイント再度引き上げ2.25%とすることを決定した(中央銀行プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。中銀は511日、44カ月ぶりに利上げに踏み切ったばかりで(2022年5月13日記事参照)、2会合続けての引き上げとなった。連続利上げは2010年以来。ロイターが20226月末に実施した事前調査では、今回会合で2.25%へ利上げすることを全22人のエコノミストが予測していた。

引き上げの理由として、中銀は同日出した声明の中で、世界経済の再開と労働市場の改善がマレーシアの経済回復を下支えしているためと述べた。一次産品価格の高騰や需要増がインフレ圧力を強めていることから、マレーシア以外の中銀もインフレ圧力軽減に向けてより速いペースで金利の調整に動くとも予測した。

中銀はマレーシア経済については、この数カ月間堅調に推移したと評価している。(新型コロナウイルス)のエンデミック段階への移行に伴い、輸出や小売りの指標は改善を続けた。労働市場でも、失業率も低下や労働参加率の上昇といった明るい兆しも見えている。今後、外需の回復ペースは緩やかになるものの、好調な内需が経済成長を下支えするとし、特に20224月の国境再開は観光部門の回復をさらに加速させると見通した。一方で、世界経済の成長率が予測を下回る可能性や、ウクライナ侵攻、サプライチェーン混乱の深刻化などが、引き続き成長への下振れリスクになり得ると指摘した。2022年上半期の総合インフレ率は平均2.4%だったと振り返った上で、通年のインフレ率は2.23.2%、コアインフレ率は2.03.0%と予測した。

今後の金融政策については、マレーシア経済のプラス成長が見込まれる中、前例のない低金利を続ける状況にはないとし、さらに金融引き締めに動く可能性も示唆した。しかし、物価の安定の下で持続可能な経済成長を支えることを主眼に、マレーシア中銀としては引き続き緩和的な金融政策を維持し、慎重かつ段階的に金利を調整するとも言及した。

先述のロイターの調査では、12人のエコノミストが9月には金利が2.50%まで引き上げられると予想し、残り10人は2.25%で据え置かれるとの見方を示している。

(吾郷伊都子)

(マレーシア)

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