製造業ライセンスのマレーシア人雇用比率の要件充足を2年間猶予
(マレーシア)
クアラルンプール発
2022年07月22日
マレーシア国際貿易産業省(MITI)は、製造業ライセンスに課されるマレーシア人雇用比率要件の充足期限について、2年間の猶予を与えることを決定した。マレーシアでは、2016年以降の製造業ライセンス取得に際し、フルタイムの常勤雇用者の80%をマレーシア人とすることを要件の1つとしているが(80-20ルール)、当初のガイドラインで定めていた2022年12月31日までの要件充足は困難だとの声が日系を含めて産業界から提起されていた(2022年6月24日記事参照)。
MITIは7月8日、製造業団体との会合を持ち、外国人労働者の雇用問題を中心とした業界の課題について意見交換を行った。複数の団体から「80-20ルールの適用は現実的ではない」「ローカル人材の定着率が低い」など、製造現場と政府指針とのギャップをあらためて訴える声が上がった。会合を進行したノーアズマン・アヨブMITI産業担当副次官はその場で、80-20ルールの緩和を実施することに言及した。
MITIの決定を受け、マレーシア製造業者連盟(FMM)を筆頭に51の業界団体が歓迎する共同声明を18日に発出した(7月18日付FMMウェブサイト)。産業界の意見を政府が受け入れたことに謝意を表しつつも、全ての労働を自動化するには限界があり、労働力需要は今後も存在すると指摘。自動化を通じた外国人労働者への依存度低減の取り組みは既に一定程度実施されており、引き続き政府の支援も必要だとくぎを刺した。
日系企業の間でも「当面の時間稼ぎにすぎない」と見る向きもある。あと2年間で省人化を進めて外国人比率を2割以下に引き下げるのは現実的ではなく、そもそも80-20ルールそのものを見直す必要があるとの指摘も出ている。製造業全体に一律に同じ要件を課すのではなく、各企業の省人化の取り組みや技術レベルなどを踏まえ、現場の実態に即した段階的な措置の適用が望まれる。
(吾郷伊都子)
(マレーシア)
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