ウイグル強制労働防止法(UFLPA)が米企業の調達に影響、米ファッション業界団体調査
(米国、中国)
米州課
2022年07月28日
米国ファッション業界団体の調査によると、ウイグル強制労働防止法(UFLPA、注1)の施行を受け、サプライチェーンにおける「脱中国」の動きが進んでいることが明らかになった。
米国ファッション産業協会(USFIA)が大手ファッションブランドの経営者などを対象に調査を実施し、7月18日に公開した年次報告書(注2)によると、77%が今後5年間のビジネス見通しについて「楽観的」または「やや楽観的」と回答した。また、94%が2022年の調達額または調達量について「増加予定」と回答しており、コロナ禍からの回復を裏付ける結果となった。
他方、サプライチェーンの混乱による調達リスクに対処するため、米国のファッション企業は調達先を多元化しており、その原動力が「脱中国」と指摘している。特に、2022年6月のUFLPA施行について、95%が「影響を受ける」としている。同法の影響として、86%は中国からの綿製品、45%は綿以外の衣料品の調達を「減らしている」または「減らす予定」と回答しており、同法の優先的な執行が想定されるアパレルや綿・綿製品分野(注3)において、リスクの高まりを受けた動きが活発になっている(添付資料表参照)。
また、同報告書は、調査回答者の中で広く実施されているUFLPA対策として、以下の4事例を挙げている。
(1)繊維や糸のサプライヤーなどサプライチェーンをマッピングし、理解する
(2)新しい規制に関するワークショップやそのほかの教育イベントに参加する
(3)ベンダーに、より詳細な社会的コンプライアンス関連ブラック ジャック ディーラーの提供を依頼する
(4)USFIAのような業界団体と密接に連携して最新の政策ブラック ジャック ディーラーを入手し、業界のベストプラクティスを学ぶ
USFIAは、中でも(1)が重要な戦略であると指摘した上で、「この調査に回答した全ての企業がティア1およびティア2のサプライヤーを追跡しており、53%は2022年からティア3の追跡を開始した。この割合は、過去の調査結果と比べて25~36%増加している」と記述している。
なお、調達先の多元化について、92%は「中国以外のアジア諸国から、アパレル製品の調達を減らす予定はない」と回答している。当該アジア諸国は米国のアパレル輸入額の7割以上を占めていることから、「脱アジア」は現実的な選択肢にならないもよう。一方、6割弱は「アジア以外の新たな調達先を模索する」と回答しており、USFIAは「西半球、特に米国・メキシコ・カナダ貿易協定(USMCA)および米国・中米間自由貿易協定(CAFTA-DR)の加盟国から調達を拡大する機会になる」としている。
(注1)ウイグル強制労働防止法の最新ニュース、法令・ガイダンスなどブラック ジャック ディーラーについては、ジェトロのウイグル強制労働防止法特集ページを参照。
(注2)調査は2022年4月から6月にかけて、米国の大手ファッションブランド経営者など34名を対象に実施。
(注3)UFLPAでは優先的に執行が想定される分野として、米国国土安全保障省(DHS)を議長とする強制労働執行タスクフォース(FLETF)が公表したUFLPA戦略(2022年6月調査レポート参照)では、(1)アパレル、(2)綿・綿製品、(3)シリカ系製品(ポリシリコンを含む)、(4)トマト・トマト製品の4分野がリストアップされている。
(葛西泰介)
(米国、中国)
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