カナダのオンタリオ・ケベック両州がコロナ第7波入り、公衆衛生上の追加制限措置はなし
(カナダ)
トロント発
2022年07月08日
カナダで1位と2位の人口を抱えるオンタリオ、ケベック両州が新型コロナウイルスの感染第7波に入ったことが確認された。
オンタリオ州の新型コロナウイルス科学諮問委員会は7月6日、同州が感染力の高いオミクロン亜種「BA.5」による新波に入ったものとみられるとの声明を発表した。同委員会はその理由として、州内各保健所の8割で患者数の急増がみられることや、入院患者数の増加、検査陽性率の上昇などを例に挙げたほか、下水調査でも全体的にウイルスの活動レベルが高くなっていると指摘した。
ケベック州の公衆衛生ディレクターであるリュック・ボアロー博士は翌7日、記者会見の中で「私は、これは第7波とみている。波の形をした急増だ」と述べ、同州の公衆衛生機関(INSPQ)へ確認する必要があるとしながらも、同州の第7波入りを認めた。
ケベック州のクリスチャン・デュベ保健相は、記者会見の中で「(公衆衛生上の制限などの)発表は特にない。心配しないでいただきたい。人々が危険性を熟知している以上、もはや押し付ける段階ではない。ただ、注意を喚起することが必要だ」と述べるにとどまった(CBCニュース7月7日)。
ただし、オンタリオ州保健局の最高医療責任者であるキエラン・ムーア博士は7月6日、秋口に屋内でのマスク着用を求める可能性や、入院患者や救急外来の待機患者過多で医療システムの崩壊が懸念される場合には、マスク着用義務化を再導入する可能性があることについて示唆した(CBCニュース7月6日)。
なお、オンタリオ州科学諮問委員会は、第7波の影響について「現在のところ、BA.5がこれまでのオミクロン亜種に比べて、より深刻であることや、以前の波と同程度の入院患者数の増加につながることを示唆する証拠はない」とした一方、「病院が職員不足と記録的な待ち時間に対処している現状で(患者数が)急増すれば、われわれ全員に影響を及ぼす」と述べた。併せて「BA.5が広範囲に広がれば、前回の波で見られたように、高齢者などのハイリスク層での死亡が増加する可能性がある」と述べ、重症化から身を守るには、3回目のワクチン接種が重要で、人混みの多い屋内の公共スペースでは再びマスクの着用に戻ることが、第7波が過ぎ去るまでの防御策になると呼びかけている。
(飯田洋子)
(カナダ)
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