タイのプラユット首相、ブリンケン米国務長官と会談、同盟・パートナーシップ関係強化
(タイ、米国)
バンコク発
2022年07月25日
タイのプラユット・チャンオーチャー首相は7月10日、同国を訪問していた米国のアントニー・ブリンケン国務長官と会談を行った。タイ政府やタイ外務省の発表によると、両国は同盟関係と戦略的パートナーシップを再確認し、経済強化や環境保護、人身売買抑制のため、2国間と多国間協力を推進することで合意したという。
プラユット首相はブリンケン国務長官の来訪を歓迎し、5月にワシントンで開催された米国ASEAN特別首脳会談に招待されたことに謝意を伝えた。また、11月にバンコクで開催されるAPECサミットにジョー・バイデン米大統領が出席することに期待を示した。
ブリンケン国務長官は、2023年に国交樹立190周年を迎える両国関係の重要性を強調し、共同声明による両国の関係基盤の強化に期待を述べた。また、米国は2023年のAPEC議長国として十分な準備をするとした。
今回、ブリンケン国務長官とドーン・ポラマットウィナイ副首相兼外相は経済協力に関して2つの文書に署名した。
- タイ・米国間の戦略的同盟とパートナーシップに関する共同声明:両国の共通の戦略目標を設定。新型コロナウイルス禍からの完全な復興に向けた経済活性化、気候変動対応、安全保障と法の執行、サイバーセキュリティーと技術協力、ASEANやAPEC、エーヤワディ・チャオプラヤ・メコン経済協力戦略(ACMECS)、メコン・米国パートナーシップなど、既存の枠組みを活用した地域協力の推進と、国際的な医療やヘルスケアにかかる課題への取り組み推進、人と人のつながり強化などが含まれる。
- サプライチェーン強靭(きょうじん)化の推進に関する覚書:重要産業のサプライチェーン強化、生産・貿易・輸送の混乱に対処する協力関係を促進することを目的としている。貿易・投資の機会を促進し、特に電気自動車(EV)や大容量バッテリー、医薬品、バイオ・循環型・グリーン(BCG)経済モデルの推進に資する産業など、対象産業における米国企業の対タイ投資を促進する。
経済協力以外では、気候変動・クリーンエネルギーについて、ブリンケン国務長官がグリーン経済とクリーンエネルギーの重要性を強調した。米国は、タイが気候変動目標を達成するための支援を行い、キャパシティービルディング、グリーン技術の移転や技術革新の創出などを通じ、タイとの環境分野での協力が早期に実現することを期待すると述べた。
また、タイは人身売買の防止に取り組むことを約束した。この問題はタイの国家アジェンダに挙げられている。
地域協力やサブ・リージョナル協力については、両国は相互に支援を行うことで合意した。タイは米国のインド太平洋経済枠組み(IPEF)に参加したが、その理由として地域経済の回復と持続可能な開発に有益なことを挙げている。
(北見創、シリンポーン・パックピンペット)
(タイ、米国)
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