EU理事会、ETS改正や自動車CO2排出基準など気候変動対策パッケージの主要要素に合意

(EU、世界)

ブリュッセル発

2022年06月30日

EU理事会(閣僚理事会)は6月28~29日未明に環境相会合を開催し、欧州委員会が2021年7月に提案した気候変動対策パッケージ「Fit for 55」(関連ブラック ジャック やり方)の主要な提案について、理事会としての交渉上の立場(position)に合意した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。理事会は、今回合意した立場に基づき今後、欧州議会との審議に臨み、各法案の最終的な合意形成を図る。

まず、EU排出量取引制度(EU ETS)の改正案では、2030年までにETS対象の産業セクターからの温室効果ガス排出量を2005年比で61%(現行目標は43%)削減し、また毎年の排出上限を4.2%(現行では2.2%)削減するという、欧州委提案(関連ブラック クイーン ブラック)の大枠を維持したかたちで合意に至った。新たに道路輸送および建物を対象にしたETS制度を別途立ち上げる欧州委提案にも同意したものの、導入時期は欧州委案より1年後ろ倒しし、2027年からとする立場を採用した。また、同じくFit for 55の一部である炭素国境調整メカニズム(CBAM、)の導入に伴い予定される、ETSに基づく排出量の無償割り当ての削減については、欧州委案の2026~2035年の10年間での削減に同意したが、削減率は当初緩やかに設定し、徐々に強化するアプローチを採用すべきとした。これらのアプローチは欧州議会の立場()とは相違点もみられ、今後、欧州委も入った3者間での非公式協議で調整を図りつつ、理事会および欧州議会の両機関間での審議を進める。

2035年の全新車ゼロエミッションに向け、2026年に進捗評価を実施

Fit for 55の基づく乗用車および小型商用車(バン)の二酸化炭素(CO2)排出基準に関する規則の改正案については、欧州議会の立場(欧州議会、ブラック ジャック)と同様に、新車からのCO2排出量を2030年までに2021年比で乗用車は55%、小型商用車は50%削減、そして2035年までにいずれも100%削減する欧州委案を支持した。EU理事会は、2035年の100%削減に向けた進捗評価を2026年に欧州委が行い、その際に、プラグインハイブリッド技術や、合成燃料を含む代替燃料技術の発展などを考慮し、必要な見直しを行うことを確認した。

EU理事会は、ETSの非対象セクターの2030年温室効果ガス削減目標(2005年比)を40%(現行では30%)に引き上げる、加盟国の排出削減の分担に関する規則(ESR)の改正や、エネルギー貧困層向けの支援策として新たに設ける社会気候基金の枠組みなどでも、加盟国間で合意した。いずれの法案も、今後、欧州議会との審議に入ることになる。

今回の理事会は、2022年上半期のEU議長国フランスにとって、議長国としての最後の閣僚級会合となった。7月1日からは、チェコが下半期の議長国を務める(次期EU議長国チェコ、ブラック)。

(安田啓)

(EU、世界)

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