鴻海、EV向け電池セルの研究開発拠点を高雄に建設と発表
(台湾)
中国北アジア課
2022年06月17日
電子機器受託生産で世界最大手の台湾の鴻海精密工業は6月15日、電池セルの研究開発兼試験量産センターの建設を発表した。同センターは台湾南部の高雄市にある和発産業園区に建設され、投資額は60億台湾元(約270億円、1台湾元=約4.5円)に上るとしている。
2024年第1四半期(1~3月)の量産開始を目標としており、電動バス、乗用車、エネルギー貯蔵などのコアアプリケーションの初期導入時の需要に対応する。生産能力は1ギガワット時(GWh)と見込んでいるが、台湾産電池セル市場の需要に対応して、将来的に拡大していく方針だという。
鴻海精密工業によると、高雄市は同社のグローバルEV(電気自動車)産業の重要な拠点で、電池セルの研究開発兼試験量産センターに加え、橋頭科学園区(サイエンスパーク)に自動運転ネットワークの試験区域を建設する計画だという。また、高雄市に賦存する金属材料や精密加工などの関連産業をベースとしながら、高雄のEV産業チェーンの発展推進のために、引き続き注力するとした。
劉揚偉董事長は同センターの建設発表に際し、重要なマイルストーンは電池産業チェーンの上流である材料から中流の電池、下流の電池パックまで現地化することとコメントした。産業チェーン全般の現地化や、台湾で生産した電池のMIH(注)規格のEVへの供給を通じ、台湾の自動車産業全体の発展の加速化を図ることを目指している。劉董事長は、より多くの産業分野のパートナーが電池産業の育成に参画し、電池の研究開発と製造技術の発展につなげたいと期待を示した。
台湾では、国家発展委員会が2022年3月に「2050年ネットゼロ排出ロードマップ」を発表しており、2030年の公共バスの全面電動化や、2040年に新車販売に占めるEVと電気オートバイのシェアを100%にすることなどを掲げている(カジノ ブラック ジャック転換で2050年の再生可能カジノ)。
(注)MIH(Mobility In Harmony)は、2020年10月に鴻海精密工業が主導で立ち上げた、EV向けのハードウエア、ソフトウエアのオープンプラットフォーム。開発者がMIH上でEVに関連するキー技術やツールにアクセスできるようにすることで、EV産業の参入障壁を排除し、多くの企業の参入を奨励、産業全体の発展を狙う。
(柏瀬あすか)
(台湾)
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