ボリッチ大統領、最初の教書演説で年金改革や鉄道開発計画などに言及

(チリ)

サンティアゴ発

2022年06月08日

ガブリエル・ボリッチ大統領は6月1日、バルパライソにある国会で就任後初めてとなる教書演説を行った。2時間15分続いた演説の中で、ボリッチ大統領は、社会的権利、より良い民主主義、正義と安全保障、包括的な経済成長、環境、の5つを軸に、これから政府が推進していく政策について発表した。主な内容は次のとおり。

〇社会的権利

  • 年金制度改革(8月に発表予定)
  • 保険制度改革
  • 先住民省の創設
  • マイノリティへの配慮を含む性教育の確立
  • 教育債務免除計画の推進
  • 法定労働時間を現行の45時間から40時間に引き下げ
  • 公平で質の高い安価な医療の実現のための基金の創設
  • 公有地で6万5,000戸の住宅建設(任期終了までに26万戸に拡大)

〇より良い民主主義

  • 移民庁のサービス強化を含む国家移民政策の実施
  • 政府調達における透明性の確保
  • ロビー活動に関する規制を強化
  • 報道の自由を確保するための法案の提出
  • 人権擁護者や人権保護団体を保護するための法案の提出
  • 反政府デモ時の犠牲者を保護するためのアジェンダを実行
  • 先住民族の土地の返還、重要な地域の保護のための共同管理協定の締結

〇正義と安全保障

  • 公安・市民保護・市民共存省の創設
  • チリ警察の改革
  • 組織犯罪に対抗するための国家政策として30億ペソ(約4億8,000万円、1ペソ=約0.16円)の予算を割り当て
  • 武器の所持を全面的に禁止する法案を提出
  • チリ南部の警察の強化

〇包括的な経済成長

  • 6月中に税制改革法案を提出
  • 燃料価格安定化メカニズム(MEPCO)の運用上限を15億ドル引き上げる法案の推進
  • グリーン水素産業の発展を促進
  • 国営銅公社(Codelco)の機能強化
  • 国営リチウム企業の設立法案の提出
  • 道路インフラの改善プロジェクトを実行
  • 地下鉄2号線と3号線の延伸
  • サンティアゴーバルパライソ間の路線を含む鉄道開発計画の推進
  • 首都の交通システムに新たに1,600台のバスを導入(うち990台は電気バス)

〇環境

  • エスカス条約()の国内承認を強調
  • 気候変動枠組み条約法案の推進
  • 海洋回廊保護のためアメリカ大陸太平洋岸での共同作業に関する合意を提案
  • 各地域に河川流域評議会を設置

(岡戸美澪)

(チリ)

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