カザフスタンとイラン、物流と農業分野で協力強化
(カザフスタン、イラン)
タシケント発
2022年06月29日
カザフスタンのカシムジョマルト・トカエフ大統領は6月19日、訪問先のイランでイブラーヒーム・ライーシー大統領と会談し、2国間の貿易・経済・文化など幅広い分野の協力関係強化に関する複数の覚書に署名した(カザフスタン大統領府ウェブサイト6月19日)。
会談の中でトカエフ大統領は、2022年第1四半期(1~3月)の貿易額が前年同期比50%増加するなど好調で、この流れを加速させるべく、両国合同の商工会議所創設や地域間・国際機関内での協力を進めるほか、イラン国民に対する14日間のビザ免除措置の導入を表明した。農業分野では、イラン企業のカザフスタン進出を歓迎するとともに、イラン向け農産物の輸出拡大を促進する。
また、カザフスタン政府はイランとの鉄道輸送(カザフスタン、トルクメニスタン、イランをつなぐルート)と、海上輸送(カスピ海に面するカザフスタンのアクタウ港、クリク港とイランのアミラバード港、アンザリ港間の海運)の発展を目指す。今回の訪問に合わせ、カザフスタン北部パブロダル駅からトルコの地中海沿岸のパヤス駅に向けて硫黄を積んだ48本の20フィートコンテナからなる試験運行用貨物列車が出発し、6月19日にテヘラン駅に到着した。両大統領はオンラインで記念式典に参加した。同鉄道ルートは距離6,336キロで、12日間でパヤスに到着する。カスピ海経由ルートと比較して日数が短いため利便性が高く、カザフスタン鉄道は定期便化を目指すと発表している(カザフスタン鉄道ウェブサイト、フォーブス・カザフスタン6月19日)。
会談後の共同記者会見でトカエフ大統領は、今般の困難な地政学的情勢下でイランとの物流分野での協力強化が重要と述べている。ライーシー大統領も、特に農業やトランジット輸送部門で今日の会談の結果が両国間の緊密な協力のための確固たる基盤になると確信すると述べ、カザフスタンとの経済交流拡大に期待を示した(カザフスタン大統領府ウェブサイト6月19日)。
(増島繁延)
(カザフスタン、イラン)
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