EU域外からの対内直接投資審査制度導入に合意、2023年にも発効へ
(ベルギー、EU)
ブリュッセル発
2022年06月06日
ベルギーの連邦政府と各地域政府は6月1日、公の秩序の維持や安全保障、戦略的に重要な産業に関わる分野への、EU域外からの直接投資を事前に審査する投資スクリーニング制度を構築するための協力協定を締結したと発表した(プレスリリース)(注1)。事前審査の目的は、域外の投資家によって、国内の重要インフラが取得・管理されることを防ぐことにある。
今後、連邦政府と各地域政府、関連機関の代表者から構成される共同のスクリーニング委員会が設置され、対象となる投資分野で10~25%以上(注2)の株式を取得するEU域外からの投資を審査しその可否や承認条件を判断する。以下の6分野に関連する業種が審査の対象となる。
- 重要インフラ(例:エネルギー、医療、メディア、防衛など)
- 安全保障に不可欠な技術や生産手段、戦略的に重要な技術(例:人工知能、ロボット工学、半導体、原子力技術など)
- 食料安全保障、エネルギー、原材料に関連した基本的物資の供給
- 個人ブラック ジャック webを含む機密ブラック ジャック webへのアクセスやその管理
- 民間のセキュリティ部門
- メディアの自由と多元性
今回の協力協定は、各政府の議会で年内に審議され、2023年1月1日に発効する見通し。
今回の合意について、連邦政府のアレクサンドル・ド・クロー首相は、「ベルギーは開かれた経済であり、外国からの投資は今後も重要だ。一方で、エネルギー、医療、メディアなど、戦略的に重要な分野では、外国からの投資が自国の安全を脅かさないかどうかを予め審査する必要がある」とコメントし、今回の決定の重要性を指摘した。
EUでは対内直接投資審査規則が2019年4月に発効し、2020年10月に全面適用を開始していた(EU初となる対内直接ブラック、EU対内直接ブラック ジャック参照)。また、欧州委員会は2021年11月に同規則の運用状況に関する報告書を発表している()。同報告書でベルギーは、アイルランド、エストニア、ギリシャ、スウェーデン、ルクセンブルクと並んで、導入に向け検討中の加盟国に位置付けられていた。2022年5月時点で、EU加盟国中18カ国が投資スクリーニング制度を導入済みだ。
(注1)ベルギーは連邦制を採用しており、連邦政府と地域政府、言語共同体政府が異なる政策分野を管轄している。連邦政府は外交や国防、財政、司法、医療について、地域政府はそれぞれの地域の雇用や経済、通商、農業、環境などを管轄している。フランダース政府のみ独自の投資スクリーニング制度を2019年1月から導入している。
(注2)スクリーニングの対象となる持ち株比率の基準値は業種・分野により異なる。
(大中登紀子)
(ベルギー、EU)
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