国民議会選挙の第1回投票、与党連合が左派連合に辛勝
(フランス)
パリ発
2022年06月14日
フランス国民議会選挙の第1回投票が6月12日に行われた。内務省の発表によると、エマニュエル・マクロン大統領の与党連合「アンサンブル」(注)の得票率が25.75%となり、急進左派「不服従のフランス」のジャン=リュック・メランション氏率いる左派連合「環境・社会 新人民連合(NUPES)」の25.66%を僅差で抑えて首位に立った。これに、マリーヌ・ルペン氏の急進右派「国民運動(RN)」が18.68%で続き、保守・共和党は中道「民主独立連合(UDI)」と合わせて11.29%だった。第1回投票の棄権率は52.49%で、2017年に行われた前回選挙の51.30%を上回った。
イフォップ(IFOP)が同日発表した獲得議席数の予測を見ると、アンサンブルが275~310議席、NUPESが175~205議席、RNが15~30議席、共和党・UDIは45~65議席、左派諸派が3~9議席、その他が3~9議席を獲得する見通し。急進左派NUPESと急進右派RNが大幅に議席を増やす一方、マクロン大統領の与党連合が289議席の過半数を獲得できるか不透明な結果となった。
これを受けて、エリザベット・ボルヌ首相は同日、第1回投票を棄権した有権者に対し、6月19日に行われる決選投票への参加を呼びかけるとともに、極右・極左に屈することなく、社会の進歩、国家主権、共和主義を擁護する政策を実現できるよう、マクロン政権に過半数を与えて欲しいと訴えた。
NUPESのメランション氏は開票速報の発表を受けた12日の演説で「第1回投票で大統領の政党は敗北した」などと述べ、国民に決選投票でNUPESに投票し、マクロン大統領のプロジェクトを退け、過去30年にわたる新自由主義に終止符を打つよう求めた。
他方、RNのルペン氏は同日、決選投票では「マクロン政権に単独過半数を与えないことが重要だ」と言明し、支持者に対し、アンサンブルとNUPESの候補者が争う選挙区ではどちらにも投票しないよう求めた。
なお、ボルヌ首相はノルマンディー地域圏カルバドス県の選挙区でマクロン大統領の支持政党ルネッサンスから立候補し、得票率34.32%を獲得してトップで決選投票に駒を進めた。決選投票ではNUPESの候補者(24.53%)と対決する。各紙報道によると、マクロン大統領は選挙で敗退した閣僚に辞職を求める方針を示しており、ボルヌ首相も落選した場合は辞任するものとみられる。
(注)「アンサンブル」は、マクロン大統領の支持政党「ルネッサンス」(旧・共和国前進)が中道政党の「民主運動(MoDem)」、エドゥアール・フィリップ元首相が立ち上げた新政党「オリゾン(地平)」と5月に結成した与党連合。国民議会選挙での共闘を発表していた。
(山崎あき)
(フランス)
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